転職を考えている、または転職活動中の場合、希望の企業の採用試験にSPIテストが含まれている人もいるのではないでしょうか。
新卒採用の試験を受けた際にSPIテストを経験していたとしても内容まで覚えていないこともあるでしょうし、新卒の試験にSPIがなかったりずっと非正規として働いていてSPIを受けた経験がないという人も多いと思います。
そして多くの人が

と戸惑うと思います。
今回の記事では転職活動におけるSPIテストとはどのようなものなのかを解説します。
転職でもSPIテストが増えている
SPIテストとは正式には「SPI総合検査」という名称で、リクルートマネジメントソリューションズが開発した適性検査の一種です。
知的能力や適性を測ることができ、選考だけでなくその人が採用された後も配属先を決める参考などに活用されています。
多くの企業が採用試験の初めの段階でこのSPIテストを取り入れており、就職活動をする際には対策をしておくことが不可欠と言えるでしょう。
近年は学生の就職活動のみならず、転職活動においてもSPIテストの受検を必要とされることが増えていると言われています。
そこには中途採用ならではの事情があります。
新卒採用の時とは違い、中途採用は選考の時間や応募者の人数が限られたものとなりがちです。
応募者の資質を見極めたり、他と比較するために客観的なデータを参照すると効率的に理解を深められるため、多くの企業で利用されるようになっています。
また、中途採用は採用後の配属先や仕事内容がはっきり想定されていることが多く、その仕事にマッチしている人材かの判断が重要になります。
更に、採用された人のSPI結果を職場であらかじめ共有することで、入社後のコミュニケーションがより円滑にできることが期待されています。
転職のSPIテストはどの様な問題内容?
それでは、SPIテストではどんな問題が出るのでしょうか。
検査には「SPI-H(高校生採用)」、「SPI-U(大学生採用)」、「SPI-G(中途採用)」と3種類ありますが、難易度にあまり差はないようです。
そして、検査問題には次の2種類があり、それぞれ性質が異なります。
- 能力検査
- 性格検査
能力検査
能力検査は知的能力を測る検査であり、課題に対する合理的な思考力、効率的な処理能力といった実際の仕事で必要とされる能力を測定するのが狙いです。
問題には言語分野と非言語分野の2種類があります。
言語分野は言葉の意味の理解や読解力が問われており、国語の問題のようなものと言えます。具体的には熟語の意味や語句の用法を問われるもの、文の並べ替えや空欄補充などの問題が出されます。
一方、非言語分野は、数的処理や論理的思考が問われる内容です。
割合と比、損益算、仕事算や速度算といった算数のような問題もあれば、与えられた少ない情報をもとに正しいと思われる選択肢を選ぶ推論という問題もあります。
言語分野、非言語分野共に選択式の問題になりますが、数が非常に多く、限られた時間で効率的な回答を要するのが特徴です。
なお、企業によっては前述の2種類以外に英語のテストを課すところもあるようです。
性格検査
性格検査は応募者がどのような人か、どのような仕事に適しているかという傾向を把握する検査です。
日頃の自分の行いや考え方について、複数の選択肢から近いものを選ぶ形式となっており、「はい」か「いいえ」、「Aに近い」か「Bに近い」、又は「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」「どちらかといえばあてはまらない」「あてはまらない」のどれかを選ぶといった回答方法になります。
回答は動的側面、意欲的側面、情緒的側面、ライスケール(本音で答えているか)の観点から評価を受けることになります。
SPIテストの対策方法を紹介
SPIテストはタイプの違う2つの検査で構成されていることが分かりました。
では、それぞれどのように対策をしていけばいいのでしょうか。
能力検査は問題数が多く、時間が非常に限られています。
付け焼刃で勉強をしても大きな効果はないと言われていますが、出題の傾向や形式を把握して慣れておくことは重要と言えます。
問題集やアプリも多数出ていますので、それらを利用してどのような問題が出て時間内でどのように答えるか、頭に入れておくと本番でも落ち着いて臨むことができるでしょう。
特にパソコンでの受検は1問ごとの制限時間も決まっていますし、次のページへ進むと前のページに戻れないなどの独特のルールがありますので、事前に確認しておけば安心です。
性格検査は基本的に自分に正直に答えることが重要です。
一貫性がなかったり、自分をよく見せようと嘘をついてしまうとそれすらも分析され、報告書に表示されることになります。
運良くそれで採用されたとしても、企業の求める姿と本来の自分が合致せず、配属先で苦しい思いをすることにも繋がりかねません。
また、能力検査と同様に問題数も多いですので、直感で素早く答えていくことが求められます。
回答で迷うことのないよう、自己分析をしておくといいかもしれません。
中途採用におけるSPIの影響度
SPIテストの正解率がどの程度必要とされているかはあまり知られていないかもしれません。
企業によってその基準は違いますが、新卒採用の場合は約8割の正解率が求められると言われています。
ところが、これが中途採用となると3~4割程度正解できていれば良いという傾向が見られます。
例えば、応募者の多い大企業の新卒採用であれば、1次選考前の足切りとして合格ラインを高めにすることもあるようですが、応募者の少ない中途採用ではそこまでする必要がありません。
何より中途採用の場合は、点数よりも企業が求める人材としてマッチするかどうかが重視されます。
そのため、書類選考や性格検査、面接などから総合的に判断されますので、点数に関しては新卒採用の時ほどの影響はないと考えられます。
とは言うものの、その3~4割すら取れないようでは合格は厳しいものになるのは必然ですので、問題集で自分のレベルを確認するなどそれなりの準備をしておくことは必要です。
その上で、SPIテスト以外の選考についてしっかり時間を割いて対策すると良いでしょう。
肝心なのはSPIテストのその先
SPIテストの概要をご紹介しましたが、中途採用の試験における重要度はそれほど高くないということでホッとされた方もいるかもしれません。
もちろん、その企業が良しとする点数に満たなくては意味がありませんから、一通りの準備は必要でしょう。
しかし、本当に大事なのは職務経歴書やSPIテストの先の面接等の選考で、しっかり自分の持ち味を伝えることが大切です。
適切な準備をして、万全の状態で臨みましょう。