給与は、働く者にとって生活の基盤であり、労働者はその対価として正当な報酬を受ける権利があります。
しかし時折、給料が未払いとなるケースが発生します。
そこで、ここでは給料の未払いが発生した時の対処法をお伝えします。

状況の整理

先ずは状況整理のために給与の未払いについて考えましょう。
始めに給料の未払いが起こってしまった原因を突き止める必要があります。

まず考えられるのが、会社が経営不振のため人件費を抑えようとしている場合です。

このような場合は、「来月にまとめて払うね」と支払いを先送りしているうちに、会社が倒産してしまうことも少なくありません。

他に単純な労務ミスや中には悪質な場合として、そもそも給料を払いたくないと考える会社もあります。
アルバイトや派遣は法律に詳しくないだろうから、未払いのままやめてくれれば給料を支払わなくてすむから儲けものと考えているのかもしれません。

どんな理由があったとしても、給料を未払いにすることは違法なので必ずお金を回収できます。

会社が倒産してしまった場合は、会社がなくなってしまっているのでどうにもできないと思いがちです。
しかし、倒産を理由に会社を辞めることになった労働者に、未払賃金の8割を上限として国の立て替えで支払ってもらえる制度があります。

ただし、1年以上事業所が労災保険の適用事業を行っていて、破産手続き開始日や事実上の倒産になった日を基準に、倒産の半年前から2年後までに退職していることが条件になります。

事実確認と証拠の収集

状況整理ができたら冷静になって会社に確認してみましょう。
最初に行うべきことは、自身の給与明細や労働契約書、出勤記録などの関連書類を確認し、未払いの事実を明確にすることです。これらの証拠は交渉や法的手続きの際に役立ちます。
状況を確認するときに大切なのは、未払いの理由を、会社がお金を払いたくないからだなどと決めつけないことです。
経理のミスなど何かの手違いということも稀にあり、給料が支払われていないことを派遣元やアルバイト先に相談してみると、意外にもすぐ支払いしてもらえたということもあります。

カッとなったりせず心を落ち着けて、まずは自分から職場へ確認してみてください。

問い合わせは原則メールか電話で

アルバイトの場合は、チェーン店なら自分が働いていた店でなく、本社に電話かメールで連絡を入れる方が効果的でしょう。

本社の人なら事態を問題視して勤務先の店長に指導を入れてくれる可能性が高いです。

一方、アルバイト先が個人経営なら、店長や社長など店や会社のトップに、相手が忙しそうな時間をはずして電話をするか、出勤時に顔を合わせて直接話しましょう。

また、派遣の場合は、登録している派遣会社の担当コーディネーターにメールや電話で連絡すれば、支払い処理を忘れていたなどの場合はすぐに対応してもらえます。

なお、アルバイトでも派遣でも電話で問い合わせる場合には、あいさつの後に自分の名前や登録番号などを告げ、支払日を過ぎているのに振込みがされていないことを簡潔に伝えることが大切です。

未払いを伝えるメール文の例

メール文を送る場合は、最初は次のように手短に済ませると良いでしょう。

お世話になっております。貴社で勤務している○○です。
○月の給与の支払いについてお尋ねしたいことがあり、メールいたしました。
契約書によると給料は○日払いとありますが、今月はまだ振り込みがされておりません。
お忙しい中恐縮ですが、ご確認いただけますようよろしくお願い申し上げます。

乱暴な言葉を使ったり、不当な未払いだと決めつけた様な文面を送ってしまうとミスだった時
今後の印象が悪くなってしまいますし、まずは波風を立てない様に対応すると良いです。

証拠と書類の作成

支払いに応じてもらえない場合は証拠と書類の作成に移りましょう。
問い合わせをしても支払いに応じてもらえない場合は、配達証明付き内容証明郵便を送るのがベストです。

差出人の情報や文書に書かれた内容、配達した日付を証明できるので、そんなもの届いていないとアルバイト先や派遣元がしらばっくれることができなくなります。

加えて、以下の証拠書類も提示します。

もし業務日報やシフト表などを手元に持っていない場合は、会社で見つけだしてコピーや写真をとっておきましょう。

◎支払われるべき給料と未払いの証拠となる書類

雇用契約書や労働条件通知書
過去の給与明細
給与口座に指定した通帳の取引明細
源泉徴収票

◎労働の証明になる書類

タイムカードや業務日報(手書きの記録でも可)
会社のパソコンの利用履歴
メールやFAXの送信履歴
シフト表

なお、未払い賃金を請求できる期限には時効があります。
2020年3月まで時効は過去2年分の給料まででしたが、同年4月から時効が3年に延長されました。
証拠書類を集めて配達証明付き内容証明郵便を送ることで、6カ月間時効を止めることができます。

こうして準備期間を確保してから会社と交渉を始めれば、余裕をもって請求が可能です。

しかし、法律問題にまで発展するトラブルとは往往にして時間がかかるものなので、可能な限りこの記事に書いてあることを同時進行で準備することをお勧めします。

また、内容証明が届いた時点で、会社が未払い分の給料を支払ってくれることもあります。

具体的な配達証明付き内容証明郵便の書き方は、弁護士が監修しているこちらのサイト(https://bengoshihoken-mikata.jp/archives/9064)を参考にしてください。

最終手段:労働基準監督署や弁護士への相談

それでも駄目なら最終手段は、労働基準監督署や弁護士の他、労働条件相談ほっとラインへの相談です。

相談する先によってそれぞれメリットやデメリットがあるので、自分の状況に合わせた相談先を選びましょう。

□労働基準監督署に相談する

労働者から労働基準監督署に違法の申告があると調査が開始され、実際に違法行為をしていると判断されたら改善するよう勧告してくれます。

ただ、注意を促したにもかかわらずアルバイト先や派遣先に拒否されてしまった場合、給料の未払い金を取り返えせる可能性は少ないです。

署内の人員不足から、命に関わる問題を優先しているため、未払い請求は優先度が低くなるからです。

それでも、労働基準監督署から連絡があった時点で慌てて会社が支払いをしてくれる場合もあるので、効果が期待できないわけではありません。

この記事を読む限りだと少し頼りない様に思うかもしれませんが、この時点で給料の支払いをしてくれる会社が多いです。

□弁護士に相談する

弁護士に依頼すると、内容証明の郵送から未払い金の計算、会社への証拠書類の開示請求、交渉や労働裁判など、面倒な手続きを一括してお任せできます。

法律の専門家についてもらえるので強気な交渉が可能で、成功率も高くなります。

デメリットは、費用が発生するので未払い金が少ないと赤字になってしまう恐れがあることです。

未払い金が多くて弁護士に頼んでも後々プラスになる場合は、成功報酬制の弁護士に依頼することで、相談料など最初にかかる金額を抑えることができます。

□労働条件相談ほっとラインに相談する

労働条件相談ほっとラインは、厚生労働省が東京リーガルマインドに委託している、無料の電話相談事業です。

時間外労働や賃金不払など幅広い問題について、専門知識のある相談員が法律や裁判例を踏まえた対応の仕方を教えてくれたり、相談先の関係機関を紹介してくれたりします。

平日夕方以降だけでなく土・日曜や祝日も開設されているので、日にちを選ばずフリーダイヤルで気軽に相談できるのがメリットです。

ただ、もちろん会社と直接交渉をしてもらえるわけではないので、あくまでも相談や紹介だけという点に注意する必要があります。

まとめ

泣き寝入りしないで給料の未払い請求をしましょう。
働いたのに給料がもらえないなんてことは、本来あってはならないことです。

意図された悪質なものだけでなく経営不振でやむをえない場合にも、給料の未払いは違法となり請求することができます。

このようなことが起こったら、アルバイトや派遣でも自分ができうる限りの行動を起こして、手間はかかっても、しっかりと給料を取り戻すことが大切です。

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