派遣社員として働いている人は、自分の雇用形態や派遣の制度について疑問をもつことがあるかもしれません。

就業中のトラブルを避けるためにも、このようなトピックについてはひと通り知っておいたほうが安心です。

この記事では、2015年にスタートした労働契約申込みみなし制度について解説をします。

制度の具体的な内容利用方法なども紹介しましょう。

労働契約申込みみなし制度とはどんな制度なの?


労働契約申込みみなし制度は、2012年におこなわれた派遣法の改正にともなって登場した制度です。

制度の概要を、ここでは簡単にご紹介します。

労働者にとって有利な非常に重要な制度なので是非しっかり読んでいただければと思います。

違法派遣に適用される制度

労働契約申込みみなし制度は、法律に違反している違法派遣に適用される制度です。

本来、派遣会社では、法律のルールに則って労働者を企業に派遣しなければなりません。

ただ、なかには法律を守らずに違法な派遣をしている派遣会社もあります。

派遣先の企業が違法派遣であることをある程度認識しながら労働者を受け入れているケースも多く、この制度がスタートする以前は、事実が発覚した時点で労働者にさまざまな不利益が発生する可能性がありました。

派遣先企業は直接雇用の申し込みをしたとみなされる

労働契約申込みみなし制度では、違法派遣が発生した時点で、「派遣先の企業が労働者に直接雇用の申し込みをした」と判断されます。

直接雇用は、企業が労働者と直接契約をして雇用をする形態です。

違法派遣が発生した場合、労働者が

この会社で引き続き働きたいです!

と希望すれば、企業側は派遣契約の際の労働条件と同じ条件で、直接雇用をする必要があります。

この制度では、企業側が労働者を直接雇用したいかどうかは問われません。

派遣先の企業が違法派遣であることをある程度認識しながら労働者を受け入れていて労働者が直接雇用を希望している時点で強制的に直接雇用をしなくてはいないのです。

派遣先が違法性を認識していないときは対象外

この制度は、派遣先の企業に落ち度がなかった場合は対象外です。

企業が違法派遣であることを知らなかったり、派遣先に過失となるような事実が一切なかったりするときは、制度が適用されない可能性があります。

しかし、派遣先企業も派遣労働者を受けいるにあたり労務管理の一環として最低限派遣法について理解する必要があるでしょうし、派遣会社から一方的に騙されたというような状況でもなければ知らなかったといってもそれが通るとは限りません。

実際に労働契約申込みみなし制度が適用さる違法な派遣


労働契約申込みみなし制度が適用される違法派遣には、大きくわけて以下の4つのパターンがあります。

  • 派遣禁止業務に該当する仕事に従事させる
  • 偽装請負
  • 派遣期間の制限に違反している
  • 派遣会社が無許可、無届けである

派遣禁止業務に該当する仕事

港湾運送や建設、警備などの仕事は、法律で定められた派遣禁止業務に該当します。

また、弁護士や公認会計士といった士業の業務も、派遣で仕事をすることは法律で禁止されています。

このような業務で派遣社員を受け入れることは、違法派遣につながりかねません。

偽装請負

偽装請負も、違法派遣のひとつです。

偽装請負は、派遣の業務形態であるにもかかわらず、請負という形に見せて労働者を働かせることです。

派遣会社には、労働者の福利厚生を管理したり、源泉徴収などの税金の手続きをしたりする義務があります。

偽装請負の場合は、派遣元がこういった義務を避けるために、請負に見せかけて労働者を企業に派遣します。

派遣期間の制限に違反している

期間の制限に違反した派遣も、違法派遣です。

派遣の仕事には、個人単位と事業所単位の期間制限があります。

たとえば、個人が同じ組織で働く場合は通算して3年間が派遣期間の期限です。

事業所が同じ派遣会社から労働者を受け入れる場合も、3年間を超えて雇用し続けることは法律上はできません。

派遣会社が無許可、無届けである

無許可であったり届け出を済ませていなかったりする派遣会社から労働者を受け入れることも、違法派遣に該当します。

派遣元が許可や届け出を済ませているかどうかは、厚生労働省が運営するサイトからチェックすることができます。

大きな派遣会社なら心配ないでしょうが、小さい派遣会社に気になる求人案件があった場合あらかじめ許認可を得ているか確認しておきましょう。

労働契約申込みみなし制度を利用するには

実際に違法派遣に気付いたときは、どのように労働契約申込みみなし制度を利用すればよいのでしょうか。

制度を利用するときの問い合わせ先と、気を付けておきたい利用の期限をここでは紹介します。

都道府県の労働局に問い合わせる

労働契約申込みみなし制度を利用したい場合は、都道府県の労働局に問い合わせをします。

この制度の窓口は、各都道府県の労働局に設けられている需給調整事業課や職業安定課などです。

厚生労働省のサイトに掲載されている担当部署に電話をかけて

労働契約申込みみなし制度を利用したいです

と伝えれば、担当者が必要な手続きをしてくれるでしょう。

違法派遣が終了してから1年以内なら制度が利用できる

この労働契約申込みみなし制度は、利用できる期間が「違法状態が終了してから1年間」と決まっています。

「違法状態が終了したとき」は、具体的に言うと違法派遣の状態でなくなったときです。

派遣先の企業は、違法状態が終了してから1年間は直接雇用の申し込みを継続しなければなりません。

したがって、このような期間が終わる前に利用したい旨を申し出れば、引き続き同じ条件で働ける可能性があります。

実際問題労働契約申込みみなし制度にメリットは少ない


労働契約申込みみなし制度は、派遣社員を守るための制度です。

  • それまでと同じ職場で働ける
  • 企業の福利厚生が利用できる

など、制度のメリットに挙げられるでしょう。

ただ、この制度には次のようなデメリットもあります。

労働条件は派遣のときと基本的に変わらない

労働契約申込みみなし制度を利用して直接雇用になっても、給料や仕事内容などの労働条件は基本的に以前と同じです。

この制度が適用された場合、最初に結んだ契約内容がそのまま引き継がれます。

実際、最初に交わしたのが有期雇用の契約だったときは、制度が適用されても所定の雇用期間しか働くことはできません。

適用された場合でも正社員になることはなく、一般の社員と異なる勤務条件で働かなければならないのがこの制度のデメリットです。

違法行為をしていた企業で働き続けなければならない

労働契約申込みみなし制度が適用される企業は、「違法と知りながら労働者を雇用していた」などの何らかの問題行為がある場合が多いです。

こういった企業で引き続き働くことは、労働者にとってひとつのデメリットになりかねません。

社内の雰囲気が悪かったり、管理職によるパワハラが横行していたりすると、ストレスを感じながら働き続けなければならない可能性があります。

もしかしたら行っている業務自体に違法性があることも考えられますし、違法行為をしている企業が労働者に正当な還元をしているとは考えにくいです。

制度の概要をチェックして今後の働き方に役立てよう


労働契約申込みみなし制度は、派遣というスタイルで働く際に労働者がチェックしておきたい制度のひとつです。

違法派遣が疑われるときにこのような制度があることを知っていれば、労働者側も落ち着いて対処ができる可能性があります。

また、そもそもどの様な行為が違法なのか理解していれば、退職したり公的機関へ問い合わせをするなど主体的に自衛行為を取ることも可能です。

派遣法の基本的な部分や制度が適用されるケースや利用の仕方などを把握して、今後の働き方に役立ててみましょう。

募集中のお仕事一覧を見てみる

デルタグループに相談してみませんか?

デルタグループでお仕事をするメリット

前渡金サービス

専用アプリから簡単に前渡金申請可能!最短当日振り込み!

カンタン勤怠登録

シフト申請・勤怠登録も専用アプリからスムーズに登録!

親身なサポート

ライフスタイルに沿った様々な働き方をご提案いたします。

あなたのご希望に合ったお仕事をご提案いたします。デルタグループにお任せください。