派遣社員で働く場合、契約期間が満了で退職になる場合と、契約期間中の途中退職という2つの退職方法がありますが、この2つの退職方法にどのような違いがあるのかご存知でしょうか。

この2つの退職方法はただ辞め方が違うだけではなく、辞めた後のお得感も異なります。

この記事ではこの2つの退職方法の違いについて詳しく紹介します。

派遣社員が退職する場合には2つの種類がある


派遣社員は正社員とは異なり、契約期間が決まっている雇用体型です。

派遣社員の契約期間は基本的に3ヶ月程で更新を繰り返しても最大で3年なので、3年以降も働きたい場合には直接雇用をしてもらったり、無期契約にしたり、部署を異動するなどが必要になります。

それゆえ派遣社員が退職する場合には2つの種類があります。

契約満了

派遣社員の退職方法で最も基本となるのが『契約満了による退職』でしょう。

基本的に派遣社員のような契約期間が決まっている雇用体型の場合、契約期間は満了するのが一般的です。

契約満了による退職の流れですが、一般的には契約満了の1ヶ月前までには派遣会社に契約満了で退職したい旨を伝えましょう。

基本的に派遣会社から契約満了前に更新するかなどの確認が行われますが、なかなか来ない場合には自分から連絡したほうが確実です。

退職の申し出の期限が決まっている派遣会社もあるので、事前によく確認しておきましょう。

派遣社員の場合は退職届などを提出する必要はありませんし、基本的に派遣会社側から派遣先に伝えてもらえます。

残りの1ヶ月程度の期間は業務の引き継ぎなどを行うことになります。

また、退職後すぐに別の仕事に就くのか、あるいは働かないのかなど状況によって変わってきますが、健康保険や年金などの切り替え手続きが必要になる場合もありますので、切り替えが必要な場合は速やかに手続を行いましょう。

そして、最終日にはお世話になった方々へ挨拶をするのがマナーです。

メールやチャットでも構いませんのでたいしょくよあいさつ

途中退職

もう1つの退職方法が『契約途中での退職』です。

派遣社員は契約満了まで務めるのが原則です。

有期雇用の場合は民法第627条で定められている退職申し出から2週間後の雇用契約終了には当てはまりません。

また、無断で退職するようないわゆるバックれをしてしまうと派遣先はもちろん、派遣会社にも非常に迷惑がかかりますし、場合によっては契約違反ということで損害賠償などを請求されてしまう可能性もゼロという訳ではないでしょう。

途中退職は原則できない派遣社員ですが、やむを得ない理由がある場合はその限りではありません。

どういったことがやむを得ない理由に当てはまるのかは難しいですが、例えば労働条件と実際の業務がかけ離れていたり、病気になったり介護をしなければいけなかったりといった場合はやむを得ない理由と判断されるでしょう。

いずれにしても、途中退職したい場合はまず派遣会社に相談しなければいけません。

派遣社員の雇い主は派遣会社なので、まずは派遣会社の合意が必要だからです。

派遣会社が合意してくれたら派遣先との交渉にも動いてくれるでしょう。

派遣社員なら満了退職が圧倒的にお得


派遣社員は契約満了まで働くというのが基本ですが、契約でそう決まっているからというだけではなく、契約満了退職は途中退職するよりも圧倒的にお得なのです。

具体的には以下のようなメリットがあります。

  • 直接雇用されやすい
  • 次の派遣先を紹介してもらいやすい
  • 失業保険給付に違いが出る

派遣社員は最大で3年までが就業期間と決まっており、3年間働き続けた人であれば労働者派遣法により派遣会社に就業を継続することを依頼出来ます。

もちろん、3年働き続けたからといって必ずしも直接雇用される訳ではありませんが、既に実績のある人材なので直接雇用される可能性は高いでしょう。

そして、新たな派遣先を紹介してもらいやすいのもメリットです。

実績のある派遣社員であれば派遣会社から、好待遇な派遣先などを紹介してもらいやすくなります。

正社員を希望する場合にも紹介予定派遣などを紹介してもらいやすいでしょう。

また、失業保険に関しても、契約満了での退職か途中退職かでは給付の期間や金額が変わってきます。

派遣社員の退職方法は失業給付にも影響する


雇用保険の失業給付金は派遣社員でも条件を満たせば受け取ることが可能です。

しかし、失業保険給付も退職方法によって違いが出てきます。

失業給付金を受け取る条件は、離職日から遡って2年の間に最低12ヶ月以上(特定理由離職者は6か月以上)働いた期間があり、再就職の意思・能力があるということです。

失業給付金の給付額や給付期間は、年齢・退職理由・勤続年数などによって決定します。

途中退職の場合派遣先の都合以外は自己都合の退職扱いになります。

対して、契約満了での退職の場合1ヶ月以上派遣先を紹介されない場合は会社都合、紹介されたが断った場合は自己都合とされます。

最終的な判断はハローワークの裁量で決められることになるので、ハローワークに問い合わせることが大切です。

途中退職場合、退職後3ヶ月後から支給となり、片や会社都合の満了退職の場合は退職後1ヶ月後から支給が開始します。

また、所定給付日数は途中退職だと派遣社員の場合は90日ですが、会社都合の満了退職の場合は派遣社員でも最大で180日と長いので、途中退職ではなく会社都合になりやすい契約満了退社がおすすめです。

もしどうしても途中で退職したくなった場合

派遣社員は契約満了まで働くのが基本と言っても、例えばセクハラやパワハラ人間関係の問題でどうしても退職したいという場合もあるでしょう。

そういった場合の対処方法ですが、まずは派遣会社の担当者に相談しましょう。

派遣先企業への交渉をしてくれますし、中でもセクハラなど派遣先に非がある場合であれば部署異動などをしてもらえるかもしれません。

派遣会社に訴えても変わらない時には、契約書を確認し苦情や相談窓口の担当者に申し立てを行いましょう。

いずれにしても、何か言われたことなどは記録に残しておくことが大切です。

なお、辞めさせてもらえない時は、契約期間の残りが少ないのであれば有給休暇が付与されている場合に限りますが、有給を使って契約期間満了日までなるべく出社しないようにするといった方法もあります。

基本は契約満了まで


派遣社員は、契約期間が決まっている有期契約なので契約満了まで働くのが基本です。

契約満了まで働けば、直接雇用で正社員登用される可能性が高かったり、良い派遣先を紹介してもらいやすかったりといったメリットがあります。

また、失業給付にも影響したりするのでやむを得ない理由が無いのであれば、自己都合の途中退職ではなく契約満了まで頑張りましょう。