
派遣の仕事をするにあたって、交通費が支給されるかどうかが気になる人もいるかもしれません。
週5日勤務の人や遠方から通勤している人は、毎月の交通費の額も大きくなり無視できない出費になってしまいます。
そんな交通費についてよく上がる質問の1つに派遣元から交通費を支給された場合、果たして所得税はかかるかというものがあります。
今回は、派遣求人に応募するときに知っておきたい、交通費非課税制度について紹介します。
最近は派遣求人でも交通費支給の案件が増えてきた
働き方改革関連法が成立する前は、雇用形態によって給与などの待遇面に違いが見られることも多かったと言えます。
法律が成立されてからは、このような事情が徐々に変わりつつあります。
派遣求人のデメリットだった交通費の自己負担
派遣という働き方が日本で注目され始めたのが、1990年代の後半ごろからです。
派遣社員は、比較的高い時給で働けるところが人気を得る一因だったと言えます。
しかしながら、このような派遣社員という働き方には交通費が支給されず自己負担しなくてはならないのが一般的というデメリットもありました。
正社員などのほかの労働契約をしている人との待遇の違いは、派遣社員という雇用形態で働く人の悩みのひとつだったと言えます。
社会情勢の影響で交通費支給の派遣求人が増加
人材派遣会社では、労働人口の減少などの背景から年々スタッフを確保する競争が激化している傾向にあります。
このような事情から、交通費を支給して他社と差別化をはかろうとする人材派遣会社も増えてきました。
2018年に働き方改革関連法が成立してからは、厚生労働省が推奨する同一労働同一賃金を意識する企業が増え、多くの人材派遣会社がスタッフへの交通費の支給を前提の考え方の元人材の募集を始めていました。
2020年以降に派遣社員になるときは、「交通費の自己負担」というデメリットはすでに消えている可能性があります。
実は上限までなら交通費は非課税
通勤の交通費は、上限までの金額であれば非課税です。
したがって、交通費を派遣元から支給されても、金額によっては所得税がかかりません。
このような非課税制度の上限額は、どのような交通手段で通勤するかで変わってきます。
公共交通機関とマイカー、複数の交通手段を使った場合の上限額を、ここではまとめてみました。
公共交通機関を使っているケース
公共交通機関を利用して通勤している場合、2016年以降は毎月15万円が非課税の上限額です。
ちなみに、非課税の扱いになるのは、国税庁が提唱している「経済的かつ合理的な方法」で通勤した人です。
この方法に該当すれば、新幹線の定期券なども非課税の対象になります。
交通費が月額15万円以上になった場合は、15万円を超えた分の金額に税金がかかります。
マイカーを使っているケース
マイカーで通勤をしている場合は、片道の通勤距離によって非課税の上限額が決まる仕組みです。
たとえば、2020年現在の基準では、片道の通勤距離が2km以上10km未満の非課税の上限額は、月額4,200円です。
また、片道の通勤距離が35km以上45km未満のときは、月額24,400円までは税金がかかりません。
片道の通勤距離が2km未満のときの交通費は非課税の対象にはならないため、少し注意が必要です。
公共交通機関とマイカーを使っているケース
電車とマイカーなどの複数の交通手段を使って通勤しているときは、両方の交通費を合算した金額で税金がかかるかどうかが決まります。
交通費の合計金額が月額15万円以下であれば、税金は発生しません。
非課税の対象になるのは交通費が別に計算されている場合
非課税制度は、「交通費」が給与とは別に支給されているケースに適用されます。
非課税の対象になるかどうかを確認したいときは、給与明細書などを見て「交通費」が別に計算されているかどうかをチェックしておきましょう。
交通費が支給されると時給が下がるって本当?
交通費が支給されるようになると、

と心配になる人もいるかもしれません。
法律の適用前は派遣会社の判断で交通費の扱いが変わることがあった
働き方改革関連法がスタートする以前は、人材派遣会社の企業努力で交通費が支給されていました。
交通費の金額をどのような形で支給するかは各社の判断にゆだねられていたため、同じ案件の仕事でも交通費の有無で時給に差が出ることがありました。
たとえば、交通費の分を給与に含めて支給する会社の場合は、通勤手当の分だけ時給が高くなります。
一方、交通費を別に支給する会社は、本来の時給の金額が提示されます。
人材派遣会社によって交通費の扱いに違いがあった時期は、本人が1カ月の手取りの金額をチェックして、どこの派遣会社がお得かを自分で計算する必要がありました。
同一労働同一賃金適用後は違いがなくなる可能性が高い
同一労働同一賃金が適用されるようになってからは、どこの人材派遣会社でも交通費を基本の給与とは別に支給するケースが増えています。
このようなスタイルが定着すれば、会社によって生じていた時給の差なども解消されていく可能性が高いです。
最初から交通費が時給と別扱いなら、働いている途中で時給の金額が下がる心配もありません。
同一労働同一賃金だから全ての交通費が支給されるわけではない
派遣社員として働いていると、ほかの社員との給与の違いに気付いて疑問を持つ人もいるかもしれません。
自分は交通費をもらっていても、ほかの社員は交通費が支給されていないケースもあるでしょう。
交通費は全額支給されるとは限らない
同一労働同一賃金が適用されてからも、すべての人が必ずしも同じ待遇になっているとは限りません。
実際、派遣社員の交通費の場合も、全額が支給されるケースもあれば、一部の金額だけ支給されるケースもあります。
逆に正社員も一切交通費を支給してもらっていない場合もゼロとは言えないでしょう。
勤務日数や勤務時間などで交通費の扱いが変わることもあるため、ほかの社員の金額と自分の金額が違っていても、いたずらに不安や不満を感じる必要はありません。
疑問点は登録の際に確認してみよう
その会社の交通費の扱いについて知りたいときは、登録の面談の際にコーディネーターに直接聞いてみるのが良い方法です。
仕事を紹介されて勤務を始めてしまうと、交通費などの細かい部分の確認がしにくくなってしまうこともあります。
面談の機会を利用して疑問点を解消しておけば、仕事を紹介された後も安心して働くことができます。
派遣社員になるときは交通費や税金についても調べておこう
派遣社員の交通費の扱いは、社会情勢の変化に伴って以前とはだいぶ変わってきています。
これから派遣社員になるときは、交通費の扱いや今回紹介した非課税制度についても、ひと通り調べておくと安心です。
実のところ、発生する所得税の金額は交通費の扱いで変わることもあります。
給与などを比較するときには、交通費が給与と項目をわけて支給されているかどうかをチェックしておきましょう。