失業中は「次の仕事をどうしよう?」ということで頭がいっぱいになりがちですが、より良い転職活動をするために、失業中こそ教育訓練給付制度を活用するのがおすすめです。
教育訓練給付制度を利用するには所定の条件を満たしたうえで然るべき手続きを取らなければならないので、離職を考えている人はあらかじめ利用条件や手続き方法を確認しておきましょう。今回は教育訓練給付制度の概要や利用の条件、手続きの流れについて説明します。
資格取得やスキルアップに役立つ!教育訓練給付制度の概要
教育訓練給付制度とは、雇用保険法で定められた失業等給付の1つです。
働く人の主体的な能力開発の取り組みや、中長期的なキャリア形成を支援することで、雇用の安定や再就職の促進を図ることを目的としています。
一定の条件を満たした人は厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講・修了することによって教育訓練経費の一部を支給してもらえて、資格取得やスキルアップのためのコストを大幅にカットできます。
教育訓練給付制度によって支給される給付金は2種類ある
教育訓練給付制度は「一般教育訓練給付金」と「専門実践教育訓練給付金」の2種類に分かれています。
一般教育訓練給付金は所定の条件を満たした人に対し、教育訓練経費の20%に相当する額(上限10万円)を支給してもらえる他、一般教育訓練の開始日前1年以内に受けた所定のキャリアコンサルティングの費用20%(上限2万円)が給付されます。
一方の専門実践教育訓練給付金は、所定の専門実践教育訓練を受講する人に対し、教育訓練経費の50%に相当する額(上限120万円)が支給されます。
さらに受講修了後、定められた資格を取得し、修了日の翌日から1年以内に被保険者として雇用された人、またはすでに雇用されている人には教育訓練経費の20%相当額を追加支給してもらえます。
なお、追加経費を加えた上限額は168万円となります。
教育訓練給付制度の利用には雇用保険の支給要件期間が3年以上必要
教育訓練給付制度の利用条件は支給される給付金の種類によって異なります。
一般教育訓練給付金の利用条件
一般教育訓練の受講開始日時点で雇用保険の支給要件期間が3年以上(初めて支給を受ける方は1年以上)ある方が対象となります。
すでに離職している場合は、離職日の翌日から受講開始日までが1年以内であることが条件です。
ただし、妊娠や出産、疾病などによって30日以上教育訓練を開始できない時は、離職日から起算して20年以内にその旨を申し出れば、上記の期間に1年が加算されます。(上限20年)
また、2回目以降に給付を受ける場合は、前回の教育訓練給付金受給から3年以上経過している必要があります。
専門実践教育訓練給付金の利用条件
基本的に一般教育訓練給付金の利用条件と同じですが、初めて支給を受ける方の支給要件期間は2年以上に設定されています。
申請手続きに必要なものは給付金の種類によって異なる
教育訓練給付金を受給するには、居住する地域を管轄するハローワークに行って給付金の種類ごとに所定の申請手続きを行う必要があります。
一般教育訓練給付金の手続き方法
一般教育訓練を受講修了後1ヵ月以内に以下の書類を提出することで手続きできます。
- *教育訓練給付金支給申請書
- *教育訓練修了証明書
- *領収書
- キャリアコンサルティングに係る領収書および記録、実施証明書(必要な人のみ)
- 本人・住所確認書類および個人番号確認書類(マイナンバーカードなど)
- 雇用保険被保険者証
- 教育訓練給付適用対象期間延長通知書(必要な人のみ)
- 返還金明細書(教育訓練施設から還付された場合のみ)
- 払い渡し希望金融機関の通帳またはキャッシュカード
- 教育訓練経費等確認書
専門実践教育訓練給付金の手続き方法
専門実践教育訓練給付金の申請手続きには以下の書類が必要です。
- 教育訓練給付金および教育訓練支援給付金受給資格確認票
- ジョブ・カード
- 本人・住所確認書類および個人番号確認書類(マイナンバーカードなど)
- 雇用保険被保険者証
- 教育訓練給付適用対象期間延長通知書(必要な人のみ)
- 写真2枚(縦3.0cm×横2.5cm)
- 払い渡し希望金融機関の通帳またはキャッシュカード
ジョブ・カードとは、訓練開始1ヵ月前までに、キャリアコンサルタントによる訓練前キャリアコンサルティングを受けたときに交付されるものです。ジョブ・カードがない場合は専門実践教育訓練の受講に関する事業主の証明書が必要となります。
失業中は教育訓練給付制度を利用してスキルアップを図りましょう
失業中の人で、所定の条件を満たす人は教育訓練にかかった費用の一部を支給してもらえます。教育訓練を受講すれば資格取得やスキルアップが図れるので、転職で有利になります。申請には複数の書類が必要になるので、忘れずに用意し、早めに手続きを済ませるようにしましょう。