退職した後、次の仕事を探すまでのつなぎとして活用できる失業保険。転職を考えている人にとって失業保険を受けられるかどうかは大きな問題ですが、正社員と比べて雇用主や雇用形態が異なる派遣社員は、失業保険を受け取れるのかどうか不安に思っている方は少なくありません。

そこで今回は、派遣社員と失業保険の基礎知識についてまとめました。

条件を満たせば派遣社員でも失業保険をもらえる!

派遣社員は正社員に比べると福利厚生の内容がやや乏しいため、退職しても失業保険をもらえないと思っている人は多いようです。

結論から言うと、派遣社員であっても失業保険を受給することはできます。ただ、失業保険を受給するには一定の条件をクリアしたうえで、然るべきところに申請を行う必要があります。失業保険をもらえるのともらえないのでは大きな違いがありますので、自分が受給の条件を満たしているかどうかしっかりチェックしておきましょう。

派遣社員が失業保険を受給するための2つの条件

派遣社員が失業保険を受給するためには、2つの条件を満たしている必要があります。

1. 雇用保険に加入している

雇用保険とは、労働者の生活や雇用の安定、就職の促進を目的に制定された国の社会保険制度の1つです。失業保険とは、雇用保険の要となる失業等給付のことですので、雇用保険に加入していなければ失業保険を受給することはできません。

派遣社員の場合、以下2つの条件を満たしていれば雇用保険に加入できます。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上
  • 同一の事業主の適用事業に継続して31日以上雇用されること

これらの条件を満たしていれば雇用保険に加入することになり、退職時に失業保険を受給することができます。

2. 離職日より前の2年間で被保険者期間が12ヵ月以上ある

失業保険の基本手当を受給するには、原則として離職する日以前の2年間において、雇用保険の被保険者期間が12ヵ月以上あることが必要となります。つまり雇用保険の加入条件を満たしていたとしても、被保険者期間が12ヵ月未満であれば失業保険を受け取ることはできません。

ただ、派遣社員の場合、働く意思があるにもかかわらず、契約期間満了時に契約更新されないことがままあります。その場合は「特定理由離職者」とみなされ、離職日以前の1年間において被保険者期間が6ヵ月以上あるという条件を満たせば、失業保険を受け取ることができます。

離職票の交付から失業認定まで!派遣社員が失業保険を申請する方法

失業保険の受給資格があっても、然るべき手続きを行わなければ給付金を受け取ることはできません。どうすれば失業保険を申請できるのか、その方法を順番にチェックしてみましょう。

1. 派遣会社から離職票を交付してもらう

失業保険の申請には、写真付きの身分証明書(運転免許証など)や写真2枚、印鑑、本人名義の預金通帳、個人番号確認書類(マイナンバーカードなど)と共に、雇用保険被保険者離職票が必要です。

離職票は派遣会社が交付してくれますので、忘れずに申請しましょう。

離職票には退職理由が記載されていますが、ここが「会社都合」か「自己都合」かによって失業保険の給付開始時期や給付期間に違いが出ます。

前者の場合、7日間の待機期間の後、1ヵ月ほどで支給が開始され、90~330日にわたって給付金を受け取れます。一方、自己都合の場合は待機期間の後、約3ヵ月待たないと支給が開始されないうえ、給付日数も90~150日と短めです。

求職の意思があるにもかかわらず、1ヵ月経過しても派遣先が決まらなかった場合は会社都合とみなされますので、失業保険の申請は離職から1ヵ月後に開始するようにしましょう。

2. ハローワークで求職の申し込みをする

住んでいる地域の管轄であるハローワークに行き、求職の申し込みをします。申し込み後、ハローワークが退職理由の判定及び受給資格の決定を行います。

3. 雇用保険受給説明会に出席する

求職の申し込み後、7日間の待機期間が経過したら雇用保険受給説明会に出席します。説明会では受給に関する重要事項の説明が行われ、終了後に雇用保険受給資格者証と失業認定申告書が交付されます。

4. 失業認定を受ける

失業保険の支給が終了するまで、4週間に1度のペースでハローワークに行き、失業認定申告書を提出します。自己都合退職の場合、1回目の支給までに3ヵ月の間が空くので、それまでに計3回の失業認定を受けることになります。

5. 失業保険の受給

失業保険の申請を行ったときに記載した指定口座宛に失業保険が振り込まれます。

派遣社員でも条件をクリアしていれば失業保険を受け取れる!

派遣社員であっても、雇用保険に一定期間以上加入していれば失業保険の給付を受けることが可能です。ただ、受給資格があっても申請しなければ給付を受けることができませんので、派遣社員だからと諦めず、自分に受給資格があるかどうか確認し、必要に応じて申請手続きを行うようにしましょう。