扶養内パートでも社会保険加入対象になるケースとは
「扶養内のパート」といえば、基本的には配偶者控除や配偶者特別控除が満額の38万円適用される給与所得150万円以内の状態を指します。いわゆる「150万円の壁」です。
しかし、この150万円の壁以内、つまり税金的には扶養内の範囲であっても、パート主婦(主夫)が社会保険加入対象になるケースがあります。
扶養内パートであっても社会保険加入対象となるケースとして挙げられるのは、以下の2つです。
- 従業員数501人以上の企業で週20時間以上パートをしており、見込み年収が106万円以上
- 従業員数500人以下など、上記の条件以外でのパートで、見込み年収が130万円以上
それぞれのケースについて詳しくご説明しましょう。
従業員数501人以上の企業での「106万円の壁」
従業員数501人以上の企業においては、見込み年収が106万円以上になると社会保険に加入する必要が出てきます。厳密に言えば、従業員数501人以上の企業で週20時間以上の所定労働時間があり、なおかつ、
- 収入が月88,000円以上ある
- 雇用期間1年以上の見込み
- 学生ではない
という条件をすべて満たした場合に、この106万円の壁が適用され、パート主婦(主夫)自身が社会保険料を負担しなくてはいけなくなります。
106万円の壁が適用されなかったパート主婦(主夫)にも130万円の壁は適用される
従業員数500人以下の企業で働いている、所定労働時間が週20時間未満など、先にご紹介した「106万円の壁」の対象外となるパート主婦(主夫)の場合は、見込み年収が130万円以上になると社会保険に加入する必要が出てきます。
労働時間が正社員の4分の3以上ある場合は企業の社会保険(健康保険、厚生年金)に加入することになり、週の労働時間が20時間未満の場合は居住地の自治体の国民健康保険、国民年金に加入することとなります。
見込み年収についての注意点
社会保険の加入の判断材料となる見込み年収については、大きな注意点があります。それは「見込み年収は月収ベースで計算される」ということです。
たとえば、9月からパートを始めた人の場合「年末である12月までは4ヶ月しかないし、月収20万円稼いだって、今年の収入が106万円や130万円を超えることはないから大丈夫」と思ってしまいがちですが、この認識は誤りです。
見込み年収とは「この月収ペースで1年働いたらいくらになるか」と考えるものなので、本人は当面の間だけ月20万円にするつもりでも、見込み年収は240万円となってしまい、社会保険に加入する必要が出てきてしまうのです。
パート主婦(主夫)が社会保険に加入することのメリットとデメリット
パート主婦(主夫)も、その見込み年収によっては社会保険に加入する必要がありますが、そのメリットとデメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
- メリット:厚生年金に加入した場合は将来の年金額が増える
- デメリット:社会保険料の支払いが必要となる分、手取りが減ってしまう
要は「将来的な年金額ではメリットが期待できるものの、働いている間の社会保険料の負担感は大きい」ということです。ただし「週20時間未満のパートでありながら130万円の壁を超えた」などという場合は事情が異なります。
この場合、年金は厚生年金ではなく国民年金への加入となり、今まで国民年金の第3号被保険者として、国民年金保険料の納付をしなくて済んでいたのに、自分で国民年金保険料を負担しなければいけません。将来の年金額は増えないのに、負担だけが増えるという大きなデメリットが出てしまいますので注意が必要です。
社会保険料の負担は大きいからこそ収入についてはしっかり考えよう
税金的には扶養内と判断されるパート主婦(主夫)であっても、社会保険への加入が必要となるケースがあります。
企業規模などのいくつかの条件によって、社会保険への加入が必要な見込み年収は106万円以上か130万円以上かに分かれますが、どちらに該当するにせよ、社会保険加入が必要となった場合は、手取りに大きな影響が出てしまいます。
厚生年金加入になる場合は将来の年金額アップというメリットが得られますが、そのメリットと、今の手取りが減るデメリットをよく比較して、どちらを選ぶか慎重に決めましょう。