
でもコピーライターとかは聞いたことがあるけどテクニカルライターってどんな仕事をする人なんだろう?
コピーライター、WEBライターなどの職業は聞いたことがあっても、「テクニカルライター」という職業は聞いたことが無いという人は多いのではないでしょうか。
テクニカルライターとはいわば「縁の下の力持ち」的な存在で、あまり華やかな職業ではありません。
しかし同時に、物に溢れた現代において欠かせない、非常に重要な職業でもあります。
今回はそんなテクニカルライターという職業についてお伝えしていこうと思います。
テクニカルライターとは?
テクニカルライターとは、専門的な技術についての文章を執筆するライターのことを指します。
わかりやすく言うと、取扱説明書やマニュアルなどを書いている人たちのことです。
「取扱説明書やマニュアルの執筆」という文面からイメージできると思いますが、この仕事において想像力やセンスは必要ありません。
読み手にわかりやすく、かつ正確に情報を伝えることが求められます。
気になる平均年収は、所属する企業によってかなりの幅がありますが、だいたい200~500万とされています。
中には年収800万以上の求人もあるためキャリアアップなども望める「スキルや実力に応じて収入アップが見込める職業だ」と言えるでしょう。
また新商品の発売数が多い企業は、テクニカルライターを重要視しているため比較的収入が高い傾向にあります。
高収入が譲れない場合は、募集先の企業の特徴について調べてみることをおすすめします。
テクニカルライターの仕事内容
テクニカルライターの仕事内容は、商品の情報を消費者に伝えることです。
そのため、まずは対象商品について深く知ることから始まります。
テクニカルライターが手掛ける商品は非常に幅広いですが、そのどれについても一定以上の知識を持っていなくては説明文を書くことはできません。
もちろんあらかじめすべての知識を身につけておくことは不可能なので、その都度勉強をし知識をインプットすることが求められます。
それに加えて、商品開発者と何度も打ち合わせをすることも重要です。
その商品の機能や特徴についての理解を深めるために、開発者本人へのヒアリングを繰り返し行う場合もあります。
商品への理解を十二分に深めた後にやっとライティングへと移りますが、テクニカルライターにおけるライティング作業は以下の二つの種類に分けることができます。
- マニュアルライティング
- 技術翻訳
どちらも「読み手にわかりやすくかつ正確に情報を伝える」という本質は変わりませんが、業務ごとに求められるスキルが微妙に異なるので、注意が必要です。
マニュアルライティングとは
文字通り、「マニュアル」を作成する業務です。
一般の消費者へ向けたものと専門の技術者へ向けたものとがあり、当然後者はより専門的な知識を必要とします。
この業務において何よりも重要なのは、「わかりやすさ」です。
とにかく誤読を招かないような、簡潔な文章が好まれます。
独創性やセンスなどはほぼ必要ないといえるでしょう。
またこの業務では文章執筆に加え、図の配置や文字の字体や大きさ・レイアウトなど、総合的なコーディネートを行う場合もあります。
技術翻訳とは
海外で作成された技術書を翻訳する業務です。
反対に、日本語の技術書を外国語へと翻訳する場合もありますがどちらかといえば海外の技術書を翻訳することの方が多い傾向にあります。
この業務において重要視されるのは、言うまでもなく「語学力」です。
英語・日本語間の翻訳がほとんどなので、基本的には英語のリーディング、ライティングの能力があれば十分です。
また仕事の特徴上、外国語の中でも特に専門性の高い文章を翻訳することになるため、その業界で使われる外国語の専門用語などについて知っておくことも重要です。
翻訳したうえで文章に書き起こす際には、マニュアルライティングと同様わかりやすさを意識しなくてはいけません。
特に技術翻訳では、言語が入れ替わる分誤読の可能性も増えるため、かなりの実力が求められます。
テクニカルライターに必要なスキルや知識
まずは正確な文章を書けることが重要です。
複雑な言い回しをせず、わかりにくい言葉を使わず、とにかく「わかりやすい」を徹底した文章力こそ、テクニカルライターに必要なスキルです。
それに加えて、「読み手の目線になること」も挙げられます。
何も知らない・わからない読み手が、何の前知識も無しでこの文章を読んで、正確に理解できるか?と意識できるかどうかということです。
これはつまるところ「正確な文章を書けること」につながりますが、この視点を持っているかいないかでテクニカルライターとしての質は大きく変わります。
テクニカルライターになるために必要な知識として、「これ!」と断定できるようなものは基本的にありません。
どのような分野の商品に携わるかによって左右されますし、そもそも企業の方針によっても対応は変わります。
「初めから自分で知識を身につけておいて」という企業か「入社後に少しづつ身につけていこう」という企業かで求められる知識レベルが異なるため、入社前に確認しておくのが良いでしょう。
しかしいずれにしても、どこかの段階で専門的な知識を身につける必要はあります。たとえ企業に急かされないとしても、自分でコツコツと勉強をしておくことが大切です。
テクニカルライターを目指すうえで取得必須な資格というのはありませんが、取得しておくと有利になる資格をいくつか紹介します。
まずは「ITパスポート試験」。
これはIT関連で最も初歩的な資格です。
経済産業省が認定している国家資格ですが、ITに関する基本的な知識だけで取得することができます。
同系統の資格としては「基本情報技術者試験」が挙げられます。
また、テクニカルコミュニケーター協会主催の「テクニカルライティング試験」というものも取得しておくと便利です。
この試験ではテクニカルライターの業務に関する知識を身につけることができます。そのため、未経験でもこの資格を持っておくだけで「テクニカルライティングについての基本的な知識は全部ありますよ」という証明になります。
未経験からなら派遣でテクニカルライターという道も
テクニカルライターに必須の資格などは存在しないため、未経験からテクニカルライターになる事は可能です。
しかし専門性の高い職業でもあるため、新卒を除いて基本的に未経験者が正社員としてテクニカルライターになるのはかなり厳しいです。
スキルを推し量る明確な資格が無い分、企業は経験者を優先的に雇う傾向にあり、最低でも業務未経験者であっても業界未経験者を採用する傾向にあります。
そのため、未経験からテクニカルライターを目指す際には、まず派遣社員からスタートするのをおすすめします。
派遣社員としてライティングの実績を積みながら、自分が希望する分野についての勉強を進めれば、テクニカルライターになるための基礎をガッチリと固めることができます。
またテクニカルライターという職業は専門性が高いため、その収入はライターの中ではかなりの上位に位置します。
もちろん個々人のスキルによるものも大きいですが、基本的には経験を積めば積むほど単価は上がっていきます。
そのため、たとえ派遣社員だとしても収入面での不安はほとんどないといっても過言ではありません。
自らの意思で仕事を選ぶことが可能なため、IT系の企業にありがちな「仕事に圧迫されて私生活が厳しい」というパターンも回避することができます。
更に実績を積めば、個人ライターとして独立することも可能です。
テクニカルライターは自分のスキルに合わせてステップアップすることができる職業なのです。
テクニカルライターという将来
テクニカルライターは決して楽なものではありませんが、それと同時に自分の努力次第で多くの可能性が開ける職業でもあります。
商品についての勉強は欠かせませんが、特別な感性も独創性も不要であり、それでいて高収入を目指すことが可能です。
日々多くの商品が発売されていく現代において、テクニカルライターは今後ますます需要が増えていくでしょう。
あなたの将来の選択肢に一つ、加えてみてはいかがでしょうか。