
求人検索などを行う際に「OAインストラクション業務」という言葉を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
「『OA』という言葉が入っているからにはIT関連のお仕事かな?」というぼんやりとした印象はあるものの、「実際にどんなお仕事なのか分からない」という方も意外と多いかもしれません。
ここではOAインストラクションについて、お仕事内容や平均年収、必要となる資格などについてまとめてみました。
OAインストラクションとは?
OAインストラクションとは、パソコンやタブレットなどのOA機器やソフトウェアの使用方法・活用方法についてレクチャーを行う仕事のことを言います。
職業としてこれを行う人をOAインストラクターと呼ばれます。
OAインストラクターは派遣社員として働く方の割合の多い職種の一つです。
簡単な言い方をすれば「パソコンの先生」のようなお仕事と考えると、イメージがしやすいのではないでしょうか。
「OA機器やソフトウェアに関するレクチャー」といっても、指導対象や指導内容も多岐にわたります。
ビジネスマンを対象とした特定のソフトウェアの使用方法についてのレクチャーもあれば、ご高齢の方を対象にしたスマホの使い方教室などもあり、指導対象や指導内容に柔軟に対応できる高い対応力が求められる職種です。
気になる年収についてですが、OAインストラクターの平均年収は350万円~450万円程度と言われています。
高度な専門知識を習得し、システムの開発等の専門的性の高いレクチャーが可能になると年収も上がります。
一方、主婦や高齢者などの初心者を対象としたレクチャーの場合は、当然ながらお給料も低くなります。
初心者向けのインストラクションの場合は時給換算で1500円程度が相場となり、上級者向けの場合は時給2500円を超えるものも珍しくありません。
初心者向けのインストラクションであれば未経験でも可能なものもありますが、上級者向けのものは経験者や資格保有者しか採用されない場合が殆どです。
OAインストラクションの仕事内容
OAインストラクションについて大まかに説明しましたが、ここではOAインストラクターの具体的な仕事内容についてもう少し詳しく説明します。
OAインストラクターのお仕事には以下のようなものが含まれます。
- パソコンを中心とするOA機器やソフトウェアの使い方等に関する講習や指導
- 講習会等で使用する教材の準備
- 専門的な技術指導やヘルプデスク業務
- 講習会の企画や提案、カリキュラムの作成
OA機器やソフトウェアに関する講習や指導
OAインストラクターのお仕事の中でも、最も中心的な内容です。
レクチャーの内容は初心者向けのものから上級者向けのものまで様々で、殆どがパソコンに関するものですが、最近では高齢者の方を対象とした「初めてのスマホ講座」のように、パソコン以外の機器に関するものもあります。
今紹介した一般の消費者向けの講習もありますが、当然企業の中でOA機器のレクチャーをすることもあります。
講習会で使用する教材の準備
OAインストラクターのお仕事は、講習会の当日にレクチャーを行うだけではありません。
講習に必要な資料作成もお仕事内容に含まれる場合があります。
「人前でレクチャーをするのは得意だけれど、資料作成は苦手」というタイプの方は、この点に注意が必要です。
しかし、こういった資料制作に必要なソフト自体もレクチャーするソフトウェアの対象になっており、基本的に資料作成も得意とする人が多いのでそういった業務に拒絶反応を示してしまう人は向いていないかもしれません。
技術指導やヘルプデスク業務
先ほども少し紹介しましたが講習会を開いてレクチャーを行うだけでなく、特定の企業をクライアントに専門性の高い内容についての技術指導を行うケースもあります。
例えば、ある企業が新しいシステムを導入した場合、システムが安定するまでは様々なトラブルが発生します。
そのような場合にトラブルの解決に当たったり、使い方を説明したりする業務がこれにあたります。
当然新しいシステムだけではなく既存のシステムやPCのセットアップを新入社員にレクチャーする人員として、人員の多い企業で雇われることもあります。
この業務は対面式で行うだけでなく、電話やチャットなどで対応する場合も多いです。
ヘルプデスクのお仕事と捉えるとイメージがしやすいでしょう。
講習会の企画や提案、カリキュラムの作成
経験や知識が蓄積された熟練のインストラクターの場合、予め設定されたテーマや指導項目に沿ってレクチャーを行うだけでなく、講習会自体の企画や提案、カリキュラムの作成等を行う場合もあります。
また、最近話題のDXを推進するためのコンサルティングを行なっている企業など組織としてOA機器の導入を支援している職場では先輩OAインストラクターの手伝いとして上記のような業務を行うこともあります。
OAインストラクションに必要なスキルや知識
OAインストラクターに必要なスキルや知識として真っ先に浮かぶのが「パソコンに関する高い知識」という方が多いと思います。
確かにそれも大変重要な要素ではありますが、実は高度な専門知識と同じくらい大切なのが「高いコミュニケーション能力」です。
前述の通り、一口に「OAインストラクション」と言っても、その内容も受講者層も多岐にわたります。
どんな相手にどのような内容をレクチャーするかによって、喋り方や資料に工夫を施すことができる高い対応力も要求されます。
受講者に分かりやすく指導するための伝達力や、講師として相応しい立ち居振る舞いやマナーなど、知識以外に多くのスキルや適性を求められます。
知識に関しては、具体的な資格として
- MicrosoftOfficialTrainer(MOT)
- パソコンインストラクター資格認定
- 情報処理技術者試験
などを取得しておくと有利でしょう。
しかし、IT分野の技術的な成長は未だ衰えを知らない状態で、新しいソフトウェアや技術がどんどん世に出てきます。
また、既存のソフトウェア等も頻繁にアップグレードが行われます。
資格を取得して安心するのではなく、日々新しい情報にアンテナを広げて、知識や情報をアップデートする努力を怠らないようにしましょう。
未経験からなら派遣でOAインストラクションという道も
OAインストラクターを目指す場合、未経験でいきなり正社員として採用されることを目指すのは、少しハードルが高いといえるでしょう。
正社員としての雇用を望む場合は、それに相応しい知識や経験をまず積む必要があります。
アルバイトの求人などで、スマホ教室などの比較的簡単な内容のお仕事から経験値を稼ぐ方法もありますが、まずは派遣社員としてキャリアを積む方法がおススメです。
派遣社員からキャリアをスタートするメリットは大きく三つあります。
一つ目は、時給が高いことです。
派遣会社を通すことで、講習対象も自然と信頼度の高い企業や団体に限られます。
そのため、時給も比較的高く、支払などにも信用のおけるお仕事だけが紹介されるというメリットがあります。
二つ目のメリットはサポート体制の充実です。
派遣会社にもよりますが、多くの派遣会社では、派遣登録を行うことで各種の専門知識の取得に有用なオンライン講座などを無料もしくは割安で受講可能な企業もあります。
派遣会社に登録する際は、このようなサポート体制の有無もチェックしておくとよいでしょう。
三つ目のメリットは安全性です。
IT関連のお仕事にはブラックなイメージを持っている方もいるかもしれません。
業界全体としてみれば以前より状況は完全されてきましたが、社内業務に関係するIT関連の業務はまだ改善しきれていないという印象があります。
直接雇用では、サービス残業やオーバーワークなどが問題になるケースもありますが、派遣で働く場合は派遣会社が間に入って給与や稼働状況について管理を行うため、このようなトラブルが起きる心配はありません。
派遣会社からして見ても雇用主は派遣会社になってしまうので、派遣先の独断で違法労働を強いて罰則を与えられるのは派遣元となっては困るためしっかりとした管理をするようになっていますし、残業代に関しても派遣社員が働く時間が増えれば増えるほどそれは派遣会社の利益につながります。
派遣社員のサービス残業は派遣元にとっては従業員が疲弊して罰則のリスクが増すだけでなく利益も増えないというデメリットしかない行為になり、逆にしっかり管理し残業代を払うことで利益は増える仕組みなため違法な残業を見逃す心配はありません。
働きながらスキルアップを行い正社員の求人に応募することもできますが、派遣先の企業から働きぶりやスキルが評価されれば、自ら就職活動を行わなくても正社員登用の声がかかる場合もあります。
内部事情がよく分からない企業の正社員採用に応募するよりも、既に社内の様子が分かっていて、人間関係もある程度形成されている派遣先企業に就職する方がリスクも小さく、あなた自身の負担も軽減されるはずです。
OAインストラクションに興味を持ったら、まず派遣会社を探してみましょう
OAインストラクションは、ITの知識だけでなく、高いコミュニケーション力などのヒューマンスキルの要求される、奥の深いお仕事です。
「パソコンが得意」という方だけでなく、「デスクワークより人と交流する仕事が好き」という方にもピッタリなお仕事といえるでしょう。
このお仕事に興味が芽生えたら、まずは派遣社員としてキャリアをスタートし、働きながらスキルや経験値を上げていく方法を試してみてはいかがでしょうか。
ITの知識に秀でている人はコミュニケーションが苦手だという人が多くいるため、もしあなたがITのスキルがありコミュニケーションも得意だというのであればきっと有利に仕事を進めることができるのではないでしょうか?