出向ってことは正社員じゃなく派遣ってこと？
仕事をする場合、様々な働き方がありますが、その中で派遣や出向という言葉を耳にする人もいるでしょう。
しかし、派遣と出向の違いは何なのか、よく分からない人もいるはずです。
そこでこの記事では、派遣社員と出向の違いについて詳しく説明していきます。
また、労働雇用契約の種類や、その定義についても合わせて紹介していきます。
労働雇用契約の種類と定義
出向や派遣、パートやアルバイトなど求人には色々な働き方の名前が書かれていますが、法律で労働雇用契約とされているものは意外と多くありません。
種類は基本的に以下の３つの
- 正社員
- パートタイマー
- 派遣
となります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
正社員
正社員とは非正規社員以外の雇用形態のことを言い、週5日以上、フルタイムで働くことを指しますが、法律的に決められた定義などはありません。
また、労働契約の期間が無くて、一度雇用されたら途中解雇などが無く、基本的に終身雇用となりこれが最大の特徴と言って良いでしょう。
ただし、業績悪化などの理由で、リストラをされる可能性はありますが、正当な理由として証明できないことでは解雇することはできず深刻な業績悪化や倒産レベル出ないと一方的な解雇は難しいのが現状です。
また、他の雇用形態と比べて転勤や残業が多かったり、賞与や諸手当があったりするのが特徴で会社にとってコストは掛かるものの一番都合よく使うことができる雇用形態と言えます。
メリットとしては雇用が安定しており福利厚生が充実している場合が非常に多く年功序列な場合が多いので年齢が上がるにつれて他の雇用形態より給料が高くなる傾向があります。
パートタイマート
正社員とは違い、週に2日や1日4時間など、働く時間を自分である程度決められるのが特徴と言えるでしょう。
パートタイム労働法では、1週間の労働時間が正社員と比べると、短い労働者をパートタイム労働者と定義しています。
なお、求人情報などではこのパートタイム労働者のことを『パート』や『アルバイト』と表記されていますが、パートタイム労働者の内『パート』と『アルバイト』を分ける定義は決まっておらず、雇用している企業が独自の定義の元に呼び分けているようです。
一般的には学生向けのパートタイム労働者求人を『アルバイト』と表記され、社会人向けのパートタイム労働者求人は『パート』と表記されている事が多い傾向にあります。
また、給与は時給制になることが多く、他の働き方よりも収入が少ないのが特徴です。
他にも社会保険である雇用保険や労災保険などは加入していても、厚生年金ではなく国民年金に加入しているパート・アルバイトが多くいますが、アルバイトであっても定められている労働条件を満たしているなら、社会保険とうに加入する事ができます。
派遣
派遣は派遣会社に登録をして、その派遣会社と契約を結んだ会社へ派遣されて働く働き方のことを言います。
この派遣という働き方は、1986年の労働者派遣法施行によってできた労働方法です。
アルバイトとは違い、週2日、短時間だけという働き方ではなく、基本的にフルタイムで働く事が想定されていますが、最近は週３や週４と言った時短勤務も可能な求人も見られます。
また、時給に関してもアルバイトより高くなる傾向があり、収入面においては正社員と同等の給与をもらえるのが特徴と言えるでしょう。
雇用期間に関しては、期限が定められているため、正社員のように終身雇用というわけではありません。
ただし、法改正により無期雇用派遣という働き方が誕生し派遣社員であっても期間の定めのない契約もあり契約によっては雇用の安定性は向上して来ています。
出向という雇用契約はない
正社員や派遣社員といった雇用形態とは違って、出向は法律上で明確な定義はありません。
簡単に言えば在籍している会社から、別の会社へ異動することを言います。
また、給与は親会社から支払われる場合と、出向先から支払われる場合の2つのパターンがあります。
出向の主な目的は、
- 企業間の交流
- キャリア形成
- 業績アップ
などが挙げられます。
企業間の交流は、例えば新しくできた子会社へ出向いて、親会社との橋渡し役を担う役割があったり、元々持っているノウハウを伝えて事業を円滑化する目的があったりもします。
キャリア形成は、若い世代を人材育成の観点から、取引先や子会社などに出向させて経験を積ませるのが目的です。
関連会社の様々なノウハウを吸収して、将来の即戦力として育てる意味合いも大きくなります。
業績アップは、優秀な人材を子会社などに出向させて、業績をアップさせようというものです。設立したばかりの会社や、業績が傾いてしまった会社を助けるのが目的となるため、優秀な人材を出向させるのが基本です。
他にも、親会社などの業績が悪化してしまい、一時的に関連会社などに出向をする場合もあります。
このように目的は様々ですが、出向をする人は正社員などの人材がほとんどとなるため、出向という雇用形態は存在しません。
派遣社員と出向の違い
派遣社員と出向は、取引先などに出向いて仕事をするという意味では同じです。
しかし、「労働契約先」や「在籍期間」、「労働時間」などに違いがあります。
労働契約先は、労働契約を結ぶ会社に違いがあり、派遣社員は派遣元の会社へ登録をして労働契約を結び、その派遣会社から紹介された会社で働き給与に関しても派遣会社から支払われます。
出向の場合は、出向を命じた会社と労働契約を結ぶのが基本ですが、状況に応じて出向先とも雇用契約を結ぶ事があり二重雇用状態になる場合もあります。
給与については労働契約を結んだ会社から支払われますが、先ほども書いたように出向さきとも雇用契約を結ぶ事もあり出向さきが支払う事もあり特にルールがないので例えば基本的な給料は出向元の会社が払い出向に関する手当は出向先が払うと言った複雑な支払われ方をする事も稀にあるようです。
在籍期間は、派遣社員は契約内容によって様々あり、例外は除き最短で１ヶ月、一般的には３ヶ月程の契約を結び契約の更新を繰り返して最長で３年間の勤務を行います。
対して出向については、雇用契約は正社員なので在籍期間に制限がありません。
出向自体に関しても法律で特に規定は無く、1年程度の人から5年以上出向先で働いている人もいます。
場合によってはずっと出向ということもありえます。
労働時間は、派遣社員は派遣会社で労働契約を結ぶため、「労働時間」も派遣元で決まり、出向については出向先と労働契約を結ぶのが基本です。他にも賃金や社会保険料の支払いについても、「労働契約先」によって変わります。派遣社員は派遣元の契約社員で、出向は出向先の社員と考えるのが良いでしょう。
違法な派遣には巻き込まれないようにしよう
派遣や出向のように様々な働き方が増えていて、分かりにくい部分もあり、自分でも分からない内にトラブルに巻き込まれてしまうケースも増えています。
特に偽装出向は発覚がしづらいため、問題となっています。
偽装出向とは、実態が労働派遣なのに出向という形をとって、労働者を就業させていることを言います。
派遣なのに出向という形を取る理由は、出向なら労働者派遣法の適用を受けないだけではなく、人選が自由になり、派遣社員のように最長3年の受け入れ期間の制限もありません。
労働者派遣法で制限されている業種にも人を派遣する事もできてしまいます。
よくあるのは建築業界の派遣が禁止されていることの抜け道としても使用されているようです。
そのため、会社側の都合の良いように、出向という形式にした違法派遣が増えています。
偽装出向とならないように自分で確認をする方法は、例えば給与の支払いがどこから支払われているのか、派遣会社との契約がどうなっているのかを確認することです。
派遣として働いていたつもりでも、知らないうちに出向のような形式になっている場合もあるので、出向と派遣の違いをしっかりと認識をして、トラブルを回避できるようにしましょう。
派遣社員と出向は似ているけれど形態は違う
派遣社員と出向では、働く会社へ出向くという意味では同じになりますが、契約内容については違いがあります。
特に契約先に違いがあるため、契約内容をしっかりと確認すれば判断できるでしょう。
偽装出向のように出向として働いていたつもりが、いつのまにか派遣扱いになっている可能性もあるので、契約内容を見直すなどの注意が必要です。
逆に派遣やアルバイトのように求人を出して出向扱いするケースもあります。
雇用契約等をしっかりと確認して働くようにしましょう。
なお、派遣法等に違反していたとしても労働者が罰則を受けることはりません。
しかし、だからと言って違法な職場で働くことは雇用の安定性を考えるとデメリットも多くいいことはありませんので早めに転職して次のキャリアを積むことをお勧めします。
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