


正社員になれないの!?

因みに2018年問題って知っている?

なんだろう・・・

今回はそんな過去の話も含め『3年ルール』や『5年ルール』などと言われている無期転換ルールについて解説していこう
まず無期雇用契約は正社員では無い
はじめに凄く大事なことですが、労働者派遣法や労働契約法で定められている無期転換ルールの無期雇用契約というのは正社員とは別物です。
仮に無期転換したとしてもそれは正社員では無いということを覚えておきましょう。
無期契約はあくまで契約期間の定めがなくなっただけでそれ以外の条件は有期雇用と呼ばれていた派遣社員や契約社員と変わりません。

と思う人もいるかもしれませんが、任せて貰える仕事でのポジションや業務内容が変わってきますし、業務が違えば待遇面での違いが出るのは当然で昇進等も正社員とは違う独自のものが適用されるのが一般的なので正社員とは待遇面で大きな違いが出てきます。
基本的には派遣社員や契約社員から期間の定めだけがなくなっただけの契約と言えます。
3年ルールと5年ルール、2018年問題って何?
派遣社員が無期転換されるタイミングは2回あります。
それが
- 同一の派遣先で3年を超えて働く場合
- 同一の派遣元で5年を超えて働く場合
1の3年が労働者派遣法(3年ルール)、2の5年が労働契約法(5年ルール)でそれぞれ定められているものです契約社員やアルバイトの場合は5年ルールのみ適応されますが派遣の場合は両方の対象となります。
なお3年ルールには派遣先との直接雇用など他の選択肢も用意されていて3年が経ったからと言って確実に無期雇用になるとは限りません
3年ルール
3年ルールは同じ派遣先で3年を超えて働く際に適用される法律で平成27年労働者派遣法改正法の概要にはこのように説明されています。
簡単に言うと3年を超えて同じ職場で働くなら下記の様に契約を変えましょう。
- 別の派遣先の紹介
- 派遣先での直接雇用
- 派遣元で有期雇用から無期雇用へ変更
- その他、安定した雇用の継続を図るための措置(雇用を継続したままの教育訓練など)
というもので元々は派遣労働者の雇用を安定させる為に作られた法律ですが、現状として3年で多くの方に派遣先を変えてもらうという方法が取られているのが実情となっています。
5年ルール
5年ルールは同一の雇用主と5年を超えて雇用契約を結ぶ際に労働者に無期転換権が発生し労働者が無期雇用を希望した場合は雇用主の如何に関わらず無期雇用に切り替えなくてはならないというものでこちらは強制ではなく労働者からの申し出が必要な制度となっています。
3年ルールとの適用要件の違いは雇用期間の計算が同一の雇用主か同一の派遣先かの違いで3年ルールは同一の派遣先、5年ルールは同一の雇用主となっていてそれぞれ条件に違いがあり、3年ルールは労働者派遣法の制度なので派遣社員の説明をするときによく見かけるルールとなっているでしょう。
2018年問題
冒頭に出てきた2018年問題はこの3年ルールと5年ルールの対象となる労働者が初めて発生する年が2018年で無期転換などの契約変更を避けるために契約を切られてしまう労働者が大量に出るのではないかと言う懸念を取り上げた物で今となっては過去の問題となっています。
実際の現場の視点では様々な問題があったでしょうが社会全体の視点では懸念していたほどの大きな問題は起きませんでした。
無期雇用のメリットデメリット
ではそんな無期雇用になる権利をあなたが実際に手にしたとしましょう。
その際制限はあるにせよあなたには無期雇用にならないという選択肢も与えられます。
せっかく手にした権利だからと何も考えず無期雇用に切り替えても良いですが、せっかくなら損のしない方を選びたいですよね。
ということでここでは派遣社員が無期雇用になった時のメリットデメリットを紹介します。
無期雇用のメリット
無期雇用のメリットは主に3つあって
- 期限の定めがないから安心感がある
- 月給制を採用している会社が多く安定した収入を得られる
- 交通費やボーナスなど正社員と似た福利厚生を受けることができる
無期雇用転換に関する制度は労働者の雇用安定を測るためのものなので基本的には安心感や安定感といったメリットが多い印象にあります。
通常の派遣社員の場合、契約を満了したり何らかの理由で更新が出来なかったりした場合、次の派遣先が決まるまで無職となってしまう事も珍しくありません。
しかし、無期雇用の場合はその心配はありませんし転職活動をする労力も不必要になります。
それに交通費やボーナスといった普通の派遣社員には縁遠い福利厚生なども受ける事ができてやはり安心感はあると言えるでしょう。
無期雇用のデメリット
では逆に無期雇用のデメリットとはどんなことがあげられるでしょう?
私が思う無期雇用のデメリットは5つ
- 待遇が下がるケースが多々ある
- 好きな派遣案件にいけなくなるケースがある
- 賃金の交渉がしにくい
- 福利厚生の利用で基本給が落ちる事がある
- リストラが行われる時は無期雇用とはいえ正社員より先にクビになる
例えばP社さんを見ると無期雇用と正社員雇用の待遇差を感じる事ができるかもしれません。
大手P社さんの場合、交通費の申請をすると交通費の上限は1万円で時給が60円下がる規則になっているようです。
月20日一日8時間働けば月の下落幅は9600円にも登ります。
残業をしようものなら申請をする事で損をしてしまうということも十分にありえます。
正社員と似た福利厚生とはいえやはり無期雇用社員と正社員とでは違うということをまざまざと感じる事ができるいい例ではないでしょうか?
それとお給料についてですが、一般的に無期に転換したからといってあからさまに給料が下がることは少ないですが、それでも多少であれば下がることもよくありますし、自分勝手に案件を変える事ができないのでお給料を上げることもなかなか難しいです。
例えば一般的な派遣社員が給料を上げたかった場合、そろそろ業務経験も積んで市場価値も上がった頃だろうと今より時給の高い案件を探してそこに派遣されるだけで簡単に給料が上がってしまいますが、無期の場合転換した時の時給を基準に年功序列形式で給料が上がる事が多いので短期的にお給料を上げることは難しいです。
派遣社員であれば時給を100円あげることはそこまで難しくないですが、無期雇用になって月給を15000円あげるのは相当難しいです。
ここまで書かれていることを見て

だからそんなことあり得ないでしょ
と思った人も多いと思いますが、先ほどからも書いていますが、無期転換はあくまで雇用の安定性を維持する為のもので待遇を向上させる為の法律ではないのです。
それがよく分かるQ&Aを厚生労働省の資料で見る事ができます。
Q12.無期転換の申込みを行った場合、正社員になるのでしょうか。また、給与や待遇等の労働条
件は変わりますか。無期転換ルールは契約期間を有期から無期に転換するルールですが、無期転換後の雇用区分については会
社によって制度が異なるため、一概には申し上げられません。給与や待遇等の労働条件については、労働協
約や就業規則、個々の労働契約で別段の定めがある部分を除き、直前の有期労働契約と同一の労働条件となります。
引用:無期転換ルールのよくある質問
簡単に書くと
という意味になり中々安心できないのが現状のように感じます。
まとめ:無期転換の申し出をする前に自分にとってどちらが得か考えよう
最も大切なのは今のあなたにとって無期転換は得なのかという事です。
例えば有効求人倍率の高いような業種で派遣社員をしていて1年や2年働いていれば時給が数百円上がってしまうような人にとっては余りにメリットを感じない制度かもしれませんが、ガツガツ稼がなくても安定してそれなりの給料が毎月もらえて毎年少しずつでも昇級していく方がいいという方にとって無期転換は魅力的に映るかもしれません。
しかし、それは今のあなたの現状や転職市場の動向にも左右されます。
是非あなたの今の状況や他の求人案件を見比べて決断していただければと思います。