失業手当を受給していて、次の仕事が派遣社員に決まったとき多くの人が気にするのが

派遣社員って1年未満の有期雇用契約だけど...
再就職手当って受け取れるの?

ということではないでしょうか?

実は派遣社員でも必要な条件を満たして入れば再就職手当を受給することができるのですが、しっかり仕組みを理解していないと知らなかったばかりに万が一にも受給できないなんて事も絶対にないとは言い切れません。

この記事では再就職手当の受給に必要な条件必要な手続きと手続きに必要な書類についてご紹介します。

まずは失業保険と再就職手当についての解説

失業保険(正式名称:雇用保険)とは失業者の生活を維持し就職を促進することを目的に作られた保険です。

その保険の中にはいくつかの手当があって、その内の2つに失業中に求職活動をすることで受け取れる基本手当と、再就職することで受け取れる就業促進給付というものがあり、この2つが今回紹介している失業保険と再就職手当です。

なお、就業促進給付を再就職手当と書きましたが、厳密には就業促進給付は「再就職手当」、「就業促進定着手当」、「就業手当」の3つからなり今回は再就職手当を主に紹介していきます。

失業保険(正式名称:雇用保険の基本給付)について

失業保険を受給するためには次の3つの条件を全て満たす必要があります。

  • 就職する意思と能力があること
  • 求職活動を行なっていること
  • 過去2年間のうち、雇用保険被保険者期間が12ヶ月以上であること

なお、『過去2年間のうち、雇用保険被保険者期間が12ヶ月以上であること』の12ヶ月以上とは賃金支払い基礎となった日(有給も含めた出勤日)が11日以上ある月が12ヶ月以上あるという意味で、これは2年間のうち合計で12ヶ月間あれば連続である必要はありません。

なので、怪我や病気をしていたり妊娠・出産ですぐに働けなかったりなどの場合は、その瞬間に関していえば働く能力がないということで受給することはできませんし、他の条件を満たしていても離職中に求職活動をしなくても受給はできないとなってしまいます。(※病気や妊娠出産などの場合は受給期間を延長できる制度があるのでこれに該当する場合はハローワークで相談してみましょう)

基本手当(失業保険)の給付金額

失業保険の給付額は退職前に働いていた会社から貰っていた給料と退職した時の年齢から求めることが可能で、基本的な求め方は以下です。

  1. 退職日より遡って6ヶ月間の給料総額を計算する
  2. 計算した給料総額から『賃金日額』を計算する※1
  3. 賃金日額と退職時の年齢をもとに『基本手当日額』を求める※2
  4. 基本手当日額に支給日数をかけて総額を計算する※3
※1.賃金日額の計算方法
賃金日額=退職日より遡って6ヶ月間の給料総額÷180
参考:厚生労働省50401-50600 第5
※2.賃金日額と離職時の年齢と基本手当日額対応表

引用:雇用保険の基本手当日額が変更になります~令和元年 8 月 1 日から~
※3支給日数の算出方法

引用:雇用保険の基本手当の所定給付日数

就業促進給付の再就職手当について

再就職手当は文字通り、雇用保険受給資格者が失業後に再就職、又は事業を開始した場合に支給される雇用保険の制度です。

この手当は離職後早く再就職が決まればより多くの手当を受給できる仕組みになっていて、具体的には

  • 基本手当の支給日数が3分に2以上余った状態で再就職した場合
     =>基本手当の支給残日数の70%の額
  • 基本手当の支給日数が3分に1以上余った状態で再就職した場合
     =>基本手当の支給残日数の60%の額

支給条件は8つあり、全ての要件を満たす必要があります。

その8つの支給要件が以下です。

  1. 受給手続き後、7日間の待機期間を満了後に就職、又は事業を開始したこと。
  2. 就職日の前日までに失業の認定を受けた上で、基本手当の支給残日数が、所定支給日数の3分の1以上あること。
  3. 離職した前の事業所に再び就職したものではないこと。又、離職した前の事務所と資本・資金・人事・取引面で密接な関わり合いがない事業所に就職したこと。
  4. 受給資格に係る離職理由により受給制限がある方は、求職申し込みをしてから、待機期間満了後1ヶ月の期間内は、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介によって就職したものであること。
  5. 1年を超えて勤務することが確実であること。
  6. 原則として、雇用保険の被保険者になっていること。
  7. 過去3年以内の就職について、再就職手当又は常用就職支度手当の支給を受けたことがないこと。
  8. 受給資格決定前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと。

引用:再就職手当のご案内

基本給付があるから就職しないで支給日数分を全て受給してから就職しようと考える人もいると思いますが、実は早めに就職して再就職手当を貰った方が、その期間の給料とプラスして最終的に沢山のお金が貰えるようになるので少しでも多くお金が欲しいと思っている人はなるべく早めに再就職して再就職手当の受給を目指してみてはいかがでしょうか?

8つの要件全てを満たさなくてはいけないので一見難しいように思うかもしれませんが、普通に働いていればそこまで難しくないので是非諦めないでください。

なお、就業促進給付には再就職手当以外にも、前職より賃金が低い場合に貰える『就業促進定着手当』や再就職手当より少し条件のゆるい『就業手当』もあるので、気になる方はハローワークの職員に最新の情報とご自身の現状を相談してみてはいかがでしょうか?

何故一年以内の有期雇用である派遣社員でも再就職手当を受給できるのか


さて、ここまで基本手当再就職手当について説明してきました。

そして再就職手当にいての受給条件『1年を超えて勤務することが確実であること。』を見て

あれ?
派遣社員だと再就職手当って貰えないの?

と感じた人もいるのではないでしょうか?

派遣社員は殆どの場合、2ヶ月や3ヶ月といった有期雇用契約を結んで働くのが一般的ですからその疑問ももっともだと思います。

しかしご安心してください。

実は再就職手当の受給条件の該当の項目には以下のようなカッコ書きが記載されています。

生命保険会社の外務員や損害保険会社の代理店研修生のように、1年以下の雇用期間を定めて雇用契約の更新にあたって一定の目標達成が条件つけられている場合、又は派遣就業で雇用期間が定められ、雇用契約の更新が見込まれない場合はこの要件に該当しません。
引用:再就職手当のご案内

この中で重要なのが赤文字で書いてある『更新が見込まれない場合』という部分です。

逆に言えば更新が見込まれる場合は再就職手当を貰うことができると言えます。

『見込まれない』なので、1年を超えた雇用が見込まれる場合は事業所とハローワークの判断で支給される事が多々あり、実は筆者も過去派遣社員として就業が決まった際に再就職手当の申し込みをしましたが、無事申請が通り再就職手当を受け取れた経験があります。

再就職手当が支給されるのはいつか

筆者の場合は1ヶ月以内に振り込まれました。

管轄のハローワークやタイミングによっていつ振り込まれるか前後することになりますが、遅くとも40日前後で指定の銀行口座に振り込まれるものと考えて良いでしょう。

単発など短期の派遣だと再就職手当を受給できない

なお、同じ派遣でも確実に数ヶ月の契約で派遣が終了になる場合や、短期の日雇いのような雇用形態で働く場合は再就職手当を受け取る事ができません、その場合は就業手当というのがありこちらもいくつか条件がありますが、日雇いのような短期でなければクリアできる条件が多いので就業手当の受給を検討してみてはいかがでしょうか?

支給申請に必要な手続きと書類を確認しておこう

必要な申請は以下の通り

  • ハローワークに再就職が決定したことを連絡
  • 必要書類を提出

必要書類は『再就職手当支給申請書』、『離職前事業主との関連及び雇用期間についての証明書』、『採用証明書』、『派遣就業に関する証明書』、『雇用保険受給資格者証』でこれらは雇用主が記載する項目も含まれているので基本的には就業後に郵送で提出するのが一般的です。

書類に関してはハローワークで受け取れるので持っていないぞという人は再就職が決まった際にハローワークで用紙をもらいましょう。

まとめ:わからないことがあったらハローワークや雇用先派遣会社の担当者に確認


いかがだったでしょうか?

雇用保険はお金に関することです。

お金に関する話をするのは卑しい様な気がしてあまり乗り気になれないかもしれませんが、せっかく貰えるはずの物が無知ゆえに貰えないなんてことになってしまったら凄く勿体無いですし、詳しく調べずなんとなく貰えるだろうと期待していたら実は貰えなかったというのも予定が狂ってしまって困りますし損をした気分にもなりますよね。

ハローワークの職員は雇用保険などに関する処理を毎日行なっているいわばブロみたいなものですし、雇用主側の人事部は雇用する度に書類の記載などをしていてそれなりに詳しくもあります。

もし、今の自分が再就職手当を貰えるのか気になった場合はそういった詳しい人に恥ずかしがらず確認してしまった方が良いでしょう。

もしこれから退職するという人も、自分が雇保険の基本給付や再就職手当を受給できる資格があるのか退職する前に確認して余裕があるのであればその条件をクリアして辞められるように調整してみるのも1つの手かもしれません。