
皆さんは派遣が禁止されている業務があることをご存知ですか?
大手の派遣会社ならあり得ませんが、小さい派遣会社で仕事をしていて知らず識らずの内に違法行為に加担していたなんてこともあるかも知れません。
今回はそんなトラブルに巻き込まれない様に、派遣法で禁止されている派遣禁止業務について、法令の詳細や具体的な業務などをご紹介します。
どんな業務が派遣禁止業務として指定されているの?
派遣が禁止されている業務は主に下の5つとして定められています。
- 湾岸運送業務
- 建設業務
- 警備業務
- 病院等における医療関連業務
- 弁護士や公認会計士など士業
なお医療関連業務は一部条件付きで労働者派遣業を行うことが許可されておりその条件が下記です。
② 当該業務が産前産後休業、育児休業、介護休業を取得した労働者の業務である場合
③ 医師の業務であって、当該業務に従事する派遣労働者の就業の場所が以下のいずれ
かに該当する場合
・ へき地にある場合
・ 地域における医療の確保のためには医業に派遣労働者を従事させる必要があると
して厚生労働省令で定める場所である場合(へき地にあるものを除く。)
なので女性の多い看護師などは割と積極的に派遣業が行われており、看護師専門の派遣業者があったりもします。
士業に関しても弁護士、国際法事務弁護士、司法書士、土地家屋調査士の業務は全面的に派遣が禁止されていますが、公認会計士、税理士、弁理士、社会保険労務士、行政書士の業務のうち一部では派遣が許されています。(一部なので全面的に許されているわけではありません。)
なので、医療関連や士業で派遣が行われているからといって全てが違法とは限らず、内容をみて違法かどうかを判断しなくてはいけません。
逆に湾岸運送業務は全ての業務に派遣が禁止されているので、荷物の積み下ろしや清掃作業など雑用の仕事すら派遣することが禁止されているのでこういった業務で派遣が行われている場合はトラブルなどに巻き込まれる前に問答無用で退職する方が良いかも知れません。
派遣が禁止されている主な理由
さて、ここまででどういった業務が派遣禁止業務として指定されているのかはお分かりになったと思いますが、なぜ上記の業務は派遣が禁止されているのでしょうか。
1999年の派遣法改正の際に派遣対象業務の拡大に合わせて明確化された禁止業務です。
それなりの理由があることでしょう。
しかし、医療関係の仕事なら禁止されている理由がなんとなくわかるかも知れませんが、正直他の業務はなぜ禁止されているか中々ピンとこないのではないでしょうか?
そこで今回は上で挙げた派遣禁止業務の5つがなぜ派遣禁止業務に指定されているのか理由を解説していきます。
湾岸輸送業務が派遣を禁止されている理由
実は湾岸運送業務は湾岸労働法という法律の規制下にあるため派遣法で規制できる領域ではないという理由で派遣が禁止されています。
なので、湾岸労働法の対象となっている指定を受けている湾岸以外はその対象となっていないので派遣を行うことができます。
なお湾岸運送業務が湾岸労働法を制定することになった背景には、時期による仕事量の変動を利用したピンハネ行為が横行した過去があるという事があり、基本的に湾岸労働法により労働者の権利を保護しているので派遣を行う事ができないようになっています。
建設業務が派遣を禁止されている理由
建設業務で派遣が禁止されている理由は主に以下の2つです。
- 安定した雇用が見込めない
- 危険が伴う業務がある
建設業務の場合、その現場の仕事が終わってしまえば労働力がいらなくなってしまうので、派遣が乱用され労働者の権利が損なわれてしまう可能性が高いため派遣が禁止されているのと建築業務は高所での作業など危険な業務が多くあります。
しかし現実問題としては、建築業界では実質派遣が横行しているのも事実で気をつけたいところです。
警備業務が派遣を禁止されている理由
警備業務の派遣を禁止している理由として一般社団法人日本人材派遣協会が記載している理由は以下のようになっています。
請負形態により業務を処理することが警備業法上求められており、労働者派遣を認めた場合、その業務の適正実施に問題が生ずるためです。
引用元:日本人材派遣協会
警備業務は労働者に危険が及ぶ可能性があり、尚且つ派遣という契約上セキュリティーの面で問題もあります。
そういった部分を『その業務の適正実施に問題が生ずるため』と表しているようです。
病院等における医療関係業務が派遣を禁止されている理由
医療関係の業務は高い専門性を必要とする上、人命を直接左右することになる仕事です。
その為、派遣労働者に従事さえっるの肌等ではないと定められています。
しかし、上でも書きましたが、以下の条件を満たしていれば例外的に派遣を行う事ができます。
② 当該業務が産前産後休業、育児休業、介護休業を取得した労働者の業務である場合
③ 医師の業務であって、当該業務に従事する派遣労働者の就業の場所が以下のいずれ
かに該当する場合
・ へき地にある場合
・ 地域における医療の確保のためには医業に派遣労働者を従事させる必要があると
して厚生労働省令で定める場所である場合(へき地にあるものを除く。)
弁護士や公認会計士など士業が派遣を禁止されている理由
士業も医療関係の業務と同じ非常に高い専門性と、人の人生に関わる可能性のある業務です。
例えば弁護士をイメージしてもらうとわかりやすいですが、その弁護士の知識や経験が依頼主の人生を大きく変えてしまう事もある程重要な決断をしなくてはいけない場合があります。
その専門性の高さと重要性から士業を派遣するのは妥当ではないというのがよくわかると思います。
派遣バイトと言われるグレーな職場が蔓延している
実は今まで紹介してきた派遣が禁止されている業界で、「実質派遣」がよく行われている業界があります。
それが建設業です。
高額アルバイト、派遣バイトなどと調べると
- 『複数現場で最大日給○万円も可能』
- 『高時給で日払い可!履歴書不要』
というような謳い文句のほぼ日雇いの派遣バイトの求人が多く見られると思います。
この中には、アルバイトとして契約して派遣としてではなく請負として労働者を現場に送り込み労働者派遣では無いように見せかけながらもその実態は指揮命令権も派遣先にあり、実質派遣と全く同じという物がありその現場の多くが建築現場になっています。
こういった企業は派遣事業許可を取得していない会社が殆どで非常に黒に近いグレーなことをしているので気をつけた方が良いです。
私も学生時代派遣バイト称した登録制のアルバイトをしていましたが、その中で何度か建築現場に派遣された事がありました。
今その会社を調べてみると、建築現場の資材運搬などを請負で受けているということになっていますが、私が働いていた時は、現場に行き現場の指揮者の命令のもと作業をするという実態は派遣という仕事をさせられていて、罰金まであるような会社で今思えば『多分違法なんじゃないかな?』というような物です。
派遣禁止業務で派遣社員として働いても労働者には罰則がありませんが、いらないトラブルに巻き込まれる危険もありますし、そもそも法律を遵守していない会社はロクでもない会社が多いので是非合法的に派遣業をしている会社で仕事をしてもらいたいと思います。
もし自分が派遣禁止業務をしていると感じたら
もし今自分が働いている派遣の仕事が派遣禁止業務に指定されている業務だったり何かしらの法律に引っかかると感じたら少し調べた上で、労働基準監督署か社労士の先生に相談して見ましょう。
もしかしたら、


と不安に感じる人もいるかもしれませんが、違法な会社で仕事を続けることの方が余程自分にとってデメリットが多いのでそういった事は気にせず相談することをオススメします。
まとめ:派遣禁止業務で仕事をしないように気をつけよう
派遣禁止業務で派遣社員として仕事をしても労働者に対する罰則は基本的にありませんので、現状働いている人が過度に心配する必要はありません。
しかし、仮に派遣会社が違法なことをしていたとバレたら、労働者は職を失う可能性もありますし、警察などから捜査の手伝いとして事情聴取等を依頼されることもあり、やはり変なトラブルには巻き込まれないに越した事はないです。
更に禁止業務で派遣をしているという事は、違法行為をしているという事です。
違法なビジネスをしているという事は少なくともまともな会社ではありません。
派遣法以外にも違法なことをしている可能性も十分あり得ます。
仮に罰金などの違法なルールを社内ルールとしても受けていた場合損失を被るのはあなたです。
やはりそういった会社とは距離をとっておく方が賢明かと思います。
基本的には違法な事をしていそうなら仕事に申し込まない、今働いている会社が違法な事をしているようであればなるべく早めに退職できるように他の仕事を探しておくなど対策をして余計なトラブルに巻き込まれる前に退職するように心がけましょう。
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