派遣社員として働き始めたがいいが、何か契約内容と違う...?

こう感じた派遣社員の方は少なからずいると思われます。

契約内容にはさまざまありますが、頭に思い浮かぶのは主に労働条件ではないでしょうか?

労働条件には、就業時間や残業の有無などがあげられます。

ですが、その他に「業務内容」という大事な契約内容が埋もれているのです。

書面に記載されている業務内容と実際の業務内容が違うという可能性は0ではありません。

これはその派遣先で働いてみないと分からないと言っても過言ではないでしょう。

実際に契約内容とは全くことなる業務をさせられたという事例もあるのです。

今回は、派遣社員の業務内容は契約通りなのかについて、また違った場合にはどのように対処すれば良いのかを説明していきましょう。

派遣先の業務内容が違ったり、変わった場合はどうすればいい?

派遣社員の中には、契約上の業務内容とは異なる業務を行っている人がいるかもしれません。

少しだけならば、気づかなかったり、許してしまうこともあるでしょう。

しかし、中にはそれが許されないほど違っていた事例もあるようです。

それら原因は派遣先にありそうに思えますが、実は派遣元にもある場合があります。

実際に業務内容に問題があった方の経験談を参考にしながら、もしその状況になったらどう対処すればいいのか追っていきましょう。

派遣先の業務内容が違うことってあるの?

結論から言うとそれはYesです。

よくある話ではありませんが、そういったこともあります。

業務内容が食い違ってしまう原因は、派遣先と派遣元の二方にあると言えます。

  • 派遣先が派遣元に正確な業務内容を伝えていない
  • 派遣先の派遣社員に対する認識の誤り
  • 派遣先が意識的に派遣社員を悪用しようとしている
  • 派遣元が派遣先の社員に業務内容などを知らせていない

4つ挙げましたが、大半は派遣先の原因に当たります。

まず、派遣先が派遣元にどのような業務を依頼するのかが曖昧になっている場合があるのです。

意識的にそうしているとは言い切れず、派遣先が派遣利用に慣れていない可能性があります。

次に派遣先の派遣社員に対する認識が違っているということです。

悪く言えば、派遣社員をなんでも屋さんと勘違いしているケースがあります。

派遣先の会社全体の認識がそうならば、派遣先の社員たちは派遣社員をそのように扱う危険性もありえるのです。

これは「意識的に悪用しようとしている」ことと紙一重と言えるでしょう。

最後の原因ですが、これは派遣元が注意しなければならないことです。

派遣元は派遣先の社員に派遣社員の業務内容について周知させなければならない義務があります。

もしこれを行っていない場合は、業務内容の食い違いが起こりやすくなってしまうでしょう。

原因は派遣先にだけではなく、派遣元にもあるということを知っておくと良いでしょう。

実際に業務内容で問題が起きた方の経験談

業務内容の食い違いや予期せぬ変更で困ったという方もおられるようです。

それでは、業務内容について問題が発生した方の経験談をお借りして見てみましょう。

派遣社員としてメーカー系システムインテグレーターで勤務しています。
オペレーター2名、スーパーバイザー2名の派遣4名でヘルプデスクのチームを組んでいましたが、仕事量が想定より少なく、開始2ヶ月でオペレーター1人が契約を切られ、4ヶ月目でスーパーバイザー2人が切られることになりました。
その結果、来月から4人で行うはずだった業務を独りで任されることになりました。
しかも、オペレーターとしての契約のままで、スーパーバイザーの業務もしなければならないそうです。
(ちなみにオペレーターの時給はスーパーバイザーより300~400円安いです)
事前にこちらの意思確認も無く、派遣会社にも連絡も無く、派遣先が勝手に決めてしまいました。
業務内容の変更を事前に伝えられていなかったので、来月以降もオペレーターとして派遣契約を結んでしまったのですが、この契約を無効とすることは出来ないでしょうか?

引用元:https://komachi.yomiuri.co.jp/t/2017/1017/823449.htm

この方は当初、4名の派遣社員でチームを組んで働いていましたが、月日が経つにつれて人員が減り、仕舞には一人で4人分の仕事(2つの業務)を任されるようになってしまった様です。

この話の問題点としては、派遣元や本人に伝えずに「オペレーター」の業務に加えて「スーパーバイザー」の業務も任そうとしていることにあります。

契約では「オペレーター」という業務内容が記載されていたはずです。

本人もそれに同意して契約を結んでいるのだと思います。

このケースの肝は「派遣元や本人に伝えていない」ことにあり、これは許されることではありません。

早急に派遣元へ連絡をし、対処する必要があります。

派遣契約の業務内容の記載例を見てみよう!

実際に契約書にはどのように業務内容について記載されているのか気になるところです。

形式はその派遣先によって異なりますが、厚生労働省で提供されている例を参考に見てみましょう。

引用元:https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_h24/dl/all.pdf

参考画像のように業務内容には具体的な業務が記載されていますよね。

派遣先は派遣社員に就かせる業務について明らかにします。

言ってしまえば、契約を結ぶ本人にとってはこの記載からしか業務についての情報が入ってこない可能性があるのです。

ですので、具体的に書かれていない場合は派遣先へ確認することが大切と言えます。

業務内容が曖昧だったり、話が違う場合はどうする?

頼まれる仕事が聞いていたのと「違う」と感じたら、まずどうすればいいのでしょうか?

その対処法はいくつかありますが、その度合にもよっても変わってきます。

できるならば、穏便に波風立てずに対処したいのが一番ですよね。

派遣社員としては、派遣先の社員と良い関係でありたいのは誰もが思うことでしょう。

まず、自分の中で許容できるかどうかを考えなければなりません。

その業務を任されても、それをメリットに変えられるのならばそのまま引き受けることもひとつの手段です。

それを断った場合、職場環境に傷が入るのならば受け入れられる人もいると思います。

自分の許すことができる範囲を超えた時に、次の対処法に行動を移しても良いのではないでしょうか。

派遣先が業務内容を改善しなければ退職も考えよう!

話と違う業務を任されて、もう我慢ならないと感じたら、まず相談しましょう。

あなたの見方は派遣元になりますので、派遣者の担当者に具体的な内容を伝えて、対応してもらうことが先決です。

派遣元から派遣先へ連絡をとって貰い、それについて改善するようにします。

そもそも契約に記載されていない業務をさせるのは「契約違反」ですから、派遣先は改善せざるを得ません。

もし、それでも改善されずに納得いかないのであれば辞めるのも一つの手です。

派遣社員のメリットとして、フットワークが軽いという点がありますが、このような場合でも有効であると言えるでしょう。

昔、派遣できる業務内容には種類があった!

皆さんは「専門(政令)26業務」や「専門(政令)28業務」という言葉を聞いたことはありますか?

それは昔、「派遣をしても良い」とされていた業務の集まりのことです。

当時はどんな業務内容でも派遣社員を雇うことは許されていませんでした。

「専門性が高い業務」や「技術や能力が必要な業務」を予め決め、それ以外の目的で派遣をしてはいけないという決まりがあったのです。

現在では「自由化業務」といってほとんどの業務において派遣社員を雇うことができます。

少し過去に遡って、昔の派遣事情について見てみましょう。

派遣業務の種類にはどんなものがあったの?

派遣法が定まった当初、派遣できる業務は「ワープロ操作」や「翻訳・通訳」など数える程の種類しかありませんでした。

そこから、幾度も議論が行われ、さらに専門的で技術が必要な業務が追加されていきました。((後の専門(政令)26業務))

その後、専門(政令)26業務が改正され、さらに業務が追加された「専門(政令)28業務」が完成しました。

その中にはどのような種類の業務があったのでしょうか。

-専門(政令)28業務-
  • ソフトウェア開発・機械設計・放送機器等操作・放送番組等演出・事務用機器操作・翻訳、通訳、速記・秘書・ファイリング・調査・財務処理・取引文書作成
  • デモンストレーション
  • 添乗
  • 建築物清掃
  • 建築設備運転、点検、整備
  • 案内、受付
  • 駐車場管理等
  • 研究開発
  • 事業の実施体制等の企画、立案
  • 書籍等の制作、編集
  • 広告デザイン
  • インテリアコーディネーター
  • アナウンサー
  • OAインストラクション
  • テレマーケティングの営業
  • セールスエンジニアの営業、金融商品の営業
  • 放送番組等における大道具、小道具
  • 上下水道施設、一般廃棄物処理施設の運転・点検

昔はこのような「専門的な仕事ができる人を短期的に雇用する」することを前提に派遣されていました。

従って、法的にこれらの少数の業務にのみ派遣が行われていたのです。

派遣を禁止されている業務内容もある?

現在、ほどんどの業務内容において派遣できるようになりました。

しかし、この「ほとんど」の裏に禁止されている業務が隠されています。

それらは「適用除外業務」と呼ばれていますが、派遣法やその施行令において禁止されているのです。

-適用除外業務-

 ① 港湾運送業務
 ② 建設業務
 ③ 警備業務
 ④ 病院等における医療関係業務
 ⑤弁護士、司法書士、公認会計士などのいわゆる「士」業務

引用元:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000133886.pdf

これらの業務において派遣することができない理由としては、「専門性」や「危険性」、「法律の関係」にあります。

高度な技術を要し、多くの人や命と密接した業務に関しては有期雇用である派遣は適さないと言えます。

湾業務では、港湾労働法という労働者派遣法とは異なった法律で港湾労働者派遣制度が導入されているのです。

そのような判断のもとにごく一部の業務に対して、派遣は規制されています。

まとめ:聞いていた話と違うときは時給の交渉もひとつの手段です!

派遣社員として働き始めたら、「何か話と違う」「聞いてない仕事も任される」と感じることもあるでしょう。

派遣先も契約を結ぶ際にそこまで具体的に記載しない場合もあります。

もしも、記載されいない業務を任されたらすぐに辞めてしまいますか?

ですが、あなたには派遣元が味方についていますから、自分から身を引いてしまうのは勿体ないとも言えます。

例えば、経験談で挙げた話のように他の業務も任されてしまう場合には、その業務に見合った時給に変更することを交渉しても良いでしょう。

派遣元の担当者に連絡をして、契約変更して貰えるように働きかける方が良いと思いませんか?

労働条件や労働環境の駆け引きもありますが、自分が納得して働ける環境を手に入れていきたいですね。