配偶者の扶養内であることによって控除が行われる「扶養控除」。大きなメリットである反面、パート主婦(主夫)の方は、扶養を外れないように気をつけて働かなければなりません。パート主婦(主夫)の収入によって、外れる控除も変わってきます。今回は、パート主婦(主夫)が扶養内で働くメリットとデメリットについて解説していきます。

扶養内で働くメリットは税金や社会保険の支払いが発生しないこと

扶養内のパート主婦(主夫)は扶養控除によって、税金や社会保険などを支払う必要がないのが、最大のメリットだといえます。

しかし、パート主婦(主夫)の収入によって、控除される項目は変わってきます。ここでは、4つのパターンについて解説していきます。

収入100万円を超えなければ住民税を負担する必要がない

収入が100万円を超えなければ、住民税を負担する必要はありません。住民税は、前年度の収入にかかる税金を支払います。なので、会社員のように収入に大きな変化がない場合には、毎年同じくらいの金額を税金として支払うことになります。

また、住民税には、都道府県税と市区町村税があり、お住まいの自治体によって金額が異なります。

所得税を抑えることで配偶者の収入も増える

世帯の所得を減らすことによって、所得税の負担も減ることになります。なので、結果的に配偶者の所得が増えることになり、手取りの金額が増えます。 年間の所得が103万円を超えると所得税を支払わなければなりません。所得税の税金金額は、自治体にもよりますが、1万円未満ほどなので、所得税を払うことにして、パート主婦(主夫)の収入を増やすのもありだといえます。

国民年金を払わずに受給することができる

平成30年度の国民年金納付額は、月額16,340円なのですが、配偶者が年収1,220万円以内の場合は、扶養内で働くことで国民年金の納付を免除されます。そして、60歳を超えて老齢年金を受け取ることができます。

国民年金の扶養範囲は、130万円なので、その収入を超えてしまうと、パート主婦(主夫)は扶養家族から抜けることになります。パート主婦(主夫)の収入が130万円をギリギリ超える場合には、130万円を超えないようにしたほうがよいでしょう。

国民健康保険に加入せず社会保険に加入できて医療費の負担を3割にできる

配偶者の扶養内で働き、配偶者が社会保険料を負担することによって、扶養されているパート主婦(主夫)は健康保険料の納付が免除されます。 国民年金と扶養範囲は130万円なので、収入が130万円を超えないように気をつけましょう。

配偶者の勤務先から扶養手当がもらえる

控除される項目ではありませんが、配偶者の扶養内で働いている場合には、勤務先にもよりますが、配偶者の勤務先から扶養手当をもらうことができます。

家族の予防接種や健康診断の費用も負担してくれる会社もあるようです。

パート主婦(主夫)が扶養内で働くデメリット

パート主婦(主夫)が扶養内で働く場合には、メリットほうが大きいです。ですが、多少のデメリットもあるので、把握しておきましょう。

配偶者の収入によって家庭内の収入が決まる

年収1,220万円以内の配偶者の扶養内でパート主婦(主夫)が働くデメリットといえるのは、パート主婦(主夫)の収入の上限が決まっているため、配偶者の収入が増えなければ家庭内の収入は増えないということです。

子供がいる家庭では、1人あたりの教育費は最低でも1,000万円はかかります。しかし、どれだけパート主婦(主夫)が頑張っても収入に上限があるため、配偶者の収入が上がらなければ、生活的に厳しいです。

働きすぎると扶養を外れてしまう可能性がある

しっかりと計算しておけば、扶養が外れることはないとは思いますが、なんらかの手違いで扶養を外れてしまう可能性もあります。

もしも、扶養範囲の収入を超えそうになった場合には、一度勤務先にも相談してみましょう。

主婦(主夫)がパートをするなら扶養の範囲を把握しておく

パート主婦(主夫)が扶養内で働くことは、メリットが多い反面、収入に上限があるという大きなデメリットもあります。もちろん、扶養を外れないようにするために、気をつけなければなりませんが、生活が厳しい場合には、扶養が外れてしまうことも考えなければなりません。 その場合には、税金や社会保険などをまかなえるだけの収入が必要となるので、しっかりと計画的に働くようにしましょう。