仕事探しに役立つ税金知識①~配偶者控除枠が拡大されました。
所得税編 所得控除について
給与や報酬から税金や社会保険等が引かれて手取りは目減りしますね。
さて控除されることはやむなしですが、貴重な収入から何がどんな根拠で控除されるのか、ご存知でしょうか?
その中で今回は所得税についてお話しします。住民税も給与から引かれる代表格ですが別の機会に取り上げます。
さて給与からはほぼ確実に所得税が引かれます。皆さんはどれくらい引かれているでしょうか。
当然ですが税金には計算法があってそれに基づいて計算されます。それはとても複雑に思えますが考え方自体は難しくはありません。
通常のパートやアルバイトですと給与所得ですからその場合の所得税の計算をシンプルに表すと、
(年収-所得控除)×税率 →これだけです。
いかがでしょうか?割と簡単ですよね。
そして(年収-所得控除)で出た額を下の表にあてはめて税率がでます。
*国税庁のホームページより
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2260.htm
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
注意:この表の控除額というのは所得控除ではなく計算をするための数字上のものです。
通常のパートやアルバイトなら年収は195万円以下でしょうか。上記の表から税率は5%です。195万円が課税額であればその5%の9750円が支払う税金となります。
さて式の内容を見ていきます。
年収は総支給額の一年分です。これは分かりやいですね。
税率も上記の表ですから、ややこしく感じるのは所得控除だけと言ってもいいでしょう。
そもそもなんのために所得控除はあるかと言えば、年収に税率をかけて計算が終わるところを、国が様々に配慮しているということです。
課税価格=(年収-所得控除)ですから、課税される額が減りますね。すると税金が減るという仕組みです。つまり所得控除は税金を下げるためにあるわけです。
事例です。
年収300万円の人にかかる税金は300万円×10%=年間30万円です
これに所得控除が100万円あるとすると
(300万円―所得控除が100万円)=200万円 200万円×10%=20万円
となるから税金は30万円から20万円に10万円下がるというわけです。
よく聞く所得控除としては年末に生命保険会社から送られてくる生命保険料控除があります。
上限は12万円ですが多くのケースでは10万円です。(詳細はちょっと複雑なので数字だけご覧ください)
10万円の控除が受けられるということは逆に言えば10万円分税金がかからないということです。
サラリーマンの大半は所得税の税率が10%だから、10万円×10%=1万円ということで、あれは年間1万円の節税のためにやっているということですね。10万円税金が戻ってくるのではありません。
もし年収150万円であれば税率5%ですから10万円×5%=5000円の節税のためにやっていることですね。
主婦(主夫)が働くときの年収の上限
ところで主婦(主夫)の方が気になる年収の上限があります。
これは夫(主な稼ぎ手)の収入との兼ね合いもあるのですが具体的には
106万
他に週20時間以上労働、勤務期間1年以上、501人以上の企業というすべての条件を満たしたときになりますが、106万円を超えると夫の扶養から外れて社会保険に加入しないといけない
130万
他の条件はなくこのラインを超えると扶養から外れて社会保険に加入しないといけない
夫(主な稼ぎ手)の扶養に入っていると社会保険料が無料ですから、外れるということはその分給与手取りが減るわけですね。所得税の上がる分と社保の上がる分との絡みで増収分を比較して考える必要があるというわけです。
150万
ずっと「103万円の壁」と言われたラインがありましたが、この2018年1月から150万に幅が増えました。
これは配偶者控除が満額の38万円受けられるラインです。
長らく103万円を超えないように12月の繁忙期に時間調整しながら働く人までいるほどでした。
それが150万円になるので少し余裕ができたのです。
しかし、そもそも配偶者控除について正しく認識されているでしょうか。
配偶者控除の最高額は38万円です。
つまり夫(主な稼ぎ手)の収入のうち38万円分には税金がかからないということ。
38万円税金が返ってくるのではありません。
普通のサラリーマン家庭だと夫(主な稼ぎ手)の課税価格への税率は10%が大半なので
38万円×10%=38000円
ということで、年間38000円支払う税金が減るのです。
つまり配偶者控除確保のためにあれこれ工夫するのは38000円のためということです。
決して38万円ではありません。
なので収入の増加分との兼ね合いで考えるべきものと思います。
税金は難しくてわからないと避けてしまうと、せっかくの昇給のチャンスや仕事のチャンスを逃すことになりかねません。
よく指摘されるラインを死守して、わずかなお金のために何十万円も損することもあるかもしれません。
今や買い物やチケットの購入などネットで調べて少しでも安いものをという時代です。
税金を正しく扱うと意外と一番得をするかもしれません。
そうは言っても一人で調べてもなかなか分かり辛いもの、細かいところは専門家のアドバイスが必要かもしれませんが、一般に注目される箇所は雇用先や派遣会社など情報は揃っていますよ。
ご注意ください
この記事は考え方の概略を述べたものです。
実際はいろんな要素があるから複雑にならざるを得ません。
配偶者がサラリーマンか個人事業主か法人の社長かなどで違いますし、その年収によっても違うし、自身の所得の形態や年収によっても違います。
あくまで一般的な収入の範囲で考えての一般論となります。
税金の本などを読むと間違いないようにあらゆるパターンを列挙してありますので、大変理解しづらいようですが考え方はシンプルですというご紹介でした。
実際に税金関係で何かを決断をされる際には、信頼できる方や機関にご相談ください。