人間関係は円滑にいくとやる気を向上させますが、あまりにも悪い人間関係の中に置かれるとストレスや体調不良の原因になります。
特に職場での人間関係は重要です。
そんな中、人間関係に疲れて仕事を辞めたいと思う人は多いかもしれません。
ですが、そう考えたときに準備もせずに勢いで決めてしまうのはおすすめできません。
では、仕事を辞めたいと感じたらどうしたら良いのでしょうか。
実は人間関係は退職理由で一番多い
人間関係を理由に退職する人に対して、世間の目は冷たいことが多いようです。


などの批判が飛んでくることも少なくないでしょう。
しかし、実際に退職する人の8割は人間関係による理由だと言われています。
自分の周りにはストレスが多くても何年も仕事を続けているという人の方が多いかもしれません。
そのため、まじめな人ほど甘えていると言われた時にそうかもしれないと自責の念に駆られて、参ってしまうこともあるでしょう。
しかし、広い視野で見てみると人間関係を理由に仕事を辞めているという人は多数派ということになります。
人間関係を理由に仕事を辞めたいという気持ちが沸いてきたとしても、まったくおかしなことではありません。
これはいたって普通の感情です。
とはいえ、人間関係にもいろいろあります。
ただの性格の不一致なのか、ハラスメントを受けるなど実害が伴っているかによっても変わってきます。
疲れ切って思考力が働かなくなる前に、本当に仕事を辞めるべきなのかどうかじっくりと考えてみましょう。
パワハラやセクハラをされる
パワハラやセクハラなどを受けていて退職を考えている場合はどうすればいいでしょうか。
まず、パワハラとセクハラの定義について頭に入れておきましょう。
「パワハラ」とは、職場内の優位な立場にある人が劣位にある人に対して精神的・身体的苦痛を与えることです。
例えば、上司からの嫌がらせやいじめなどが挙げられます。
「セクハラ」とは、相手の意に反する性的言動によって働く上で不利益を被ったり、性的な言動によって就業環境が悪くなることです。
身体的な接触だけでなく、言動も立派なハラスメントに当たります。
特に言動においては、ハラスメントと断定するのが難しいこともあります。
人や地域によって、価値観や冗談の程度が異なるからです。
相手を不快にさせない程度の冗談が相手の感情をほぐし、人間関係を築きやすいと感じる人もいます。
同じ言葉をかけられても、全ての言葉をまじめに受け取る人なら傷ついてしまうこともあるでしょう。
そのため、パワハラやセクハラに対して具体的な法律を定めるのは難しいとされています。
おとなしい性格の人やまじめな人ほどハラスメントには至らないのかもしれないと考えて、辛いのを我慢して泣き寝入りして表面化していないケースもたくさんあると考えられます。
しかし、厚生労働省がハラスメントに当たる例とそれに対して会社側が取るべき10個の必要な措置を紹介していますので、ある程度の基準として参考にできるでしょう。
また、ハラスメントは口頭でのやり取りが多い為、証拠が残りづらい特徴もありますので、日常的にハラスメント被害にあっているのであれば音声を録音して冷静な状態で厚労省のハラスメントの例に当てはめてみても良いと思います。
相談窓口が設けられている会社も増えつつありますが、もし無ければ信頼できるもしくは話しやすい上司に上記の証拠なども提示しつつ相談してみましょう。
非常に勇気のいることですが、問題を知ることができなければ会社としても対処ができないのは事実です。
もし、会社に相談しても対応してくれない場合、対応してくれていないという証拠も合わせてパワハラやセクハラの証拠を必ず残しておきましょう。
ボイスレコーダーで音声を録音しておくのが最善ですが、それができなければ、ノートやメモ帳にハラスメントを受けたことをできるだけ細かく記録しておきます。
日時や時間、場所、ハラスメントの内容、その時に感じた自分の感情など思いつくことはすべて記録しておくのがポイントです。
メールや写真なども重要な証拠になりますから、消さずに残しておくと後々有利になります。
会社への相談ではなく外部への相談を前提にした証拠とは法的に有効かも重要になってくる場合もある為そういったことも意識すると良いかもしれません。
また、会社都合で退職したいと思っても、退職理由を伝える際に正直な理由を言うことができなかったり、会社の圧力などで自己都合での退職に追いつめられることもあるでしょう。
その場合は自己都合の退職でもパワハラやセクハラによる退職だと認められた場合は給付制限もなく、すぐに失業保険が受給されます。
そのためにも、ハラスメントを受けた証拠を残しておくことが大事です。
我慢ができる程度ならもう一度じっくり考えよう
身体的や精神的に害を受けているわけでもなく、なんとなく仕事を辞めたいと考えている場合はどうでしょうか。
誰しも気の合わない人はいますし、イライラしてしまうこともあるでしょう。
そういった時は早急に判断せずいったん立ち止まって深呼吸し、「相手との関係を改善するために努力したか、その人と合わないのはいつものことなのか、状況によっては笑って話し合える時もあるのか」など、よく考えてみると良いでしょう。
人間関係に疲れることは誰しもありますから、一時的な感情だけで行動してしまうと後になって後悔することになるかもしれません。
疲れると判断力や思考力が鈍ってしまいやすいため、有休が取れるなら体をゆっくり休めるのも一つの方法です。
体調が良くなると、気分的にも前を向きやすくなります。
退職するときにすべきこと
よく考えた上で退職を決意したなら何をすれば良いでしょうか。
完全な自己都合の場合は一般的な退職方法で問題ありません。
余裕を持って退職の意思を伝え、挨拶や引継ぎ作業などをきちんと退職日までに済ませるようにしましょう。
ハラスメントなど違法行為を受けたことで退職する場合であれば、自分のコンディションと相談します。
ハラスメントの証拠などを提出し、会社都合にして退職させてもらえるだけの体力が残っていれば良いのですが、体も心もボロボロで出社さえできないということもあり得ます。
今は退職を代行してくれる会社がありますので、そのような専門業者に任せることも一つの手段です。
その場合でもできるだけわだかまりを残さないために、引継ぎのマニュアルを作成しておくとベストです。
退職後、離職票が手元に届いたならハローワークで失業保険の申請、市役所で年金、健康保険の切り替えなどの手続きが必要です。
転職先が決まっているなら会社先に提出するだけで手続きは済みますが、休養が必要な場合は期限に注意する必要があります。
失業保険は1年と申請期日に余裕がありますが、年金や健康保険の切り替えは退職日から14日以内と期限が早いので、忘れずに行いましょう。
退職する時は計画的に
もし、どうしても耐えられなくなって仕事を辞めることになったとしても、それは甘えではありません。
退職することは必ずしもマイナスになるとは限りませんし、多くの職場や人と接することで人間性に深みを増すこともできます。
仕事の代わりは探せば見つかりますが、自分自身の代わりはいません。
頑張ってもだめだったら心身共に壊れてしまわないうちに、行動するのが最善です。