今や「五月病(ごがつびょう)」という言葉はすっかり定着しています。新年度が始まる4月の終わりから5月の始めまでゴールデンウィークに入ります。

昔に比べるとその期間は長くなっていて大きな区切りが暦の上にできているようにも見えます。そのため、5月のゴールデンウィーク明けに「五月病」なるものにかかる人が多くなっていると言われています。

ではこの五月病は、ただの言葉遊びなのでしょうか。それとも本当に「病気」なのでしょうか?まずそれを確かめてみましょう。

症状と原因

日本は4月に年度が変わりますから、進学や進級、就職、転勤がこの時期に重なります。それに伴って引っ越しなどもこの時期に集中します。つまり世の中全体が大きく環境を変える時期なのですね。個人ベースで考えるならば、住む場所も毎日通う場所も毎日会う人たちも変わったりするわけです。

さらにちょうど季節も冬から春になり桜が満開になります。そんな中でスタートする社会人としての生活。あらたな職場での生活。仕事もプライベートも激変して、大きな期待や希望をもちつつ夢中で頑張る4月になるのです。

そして5月の大型連休で、世の中のリズムも自分のリズムもいったん小休止。実はここでほとんどの人は新生活の疲労がたまっていると言われています。その時、張り詰めた気持ちが強ければ強いほど、ほっとして糸が緩むことになります。そのまま今度は糸が伸びなくなったり、心が動かなくなったりすること、それが「五月病」と呼ばれるものです。

正式な病名ではありませんが、単なる言葉遊びではなく環境に適応できないための「うつ状態」「意欲低下状態」ということですから、程度がひどい時には病気であることに間違いありません。そのまま会社に行けなくなったり登校拒否となることもあります。

大きな変化を遂げる5月、そのあと小休止の連休、そこが落とし穴になってしまうのですね。

五月病対策

ではそうならないためにはどうすればいいか、またはなったとしてらどうすればいいかを考えてみたいと思います。ただし、これはまだ本格的な病気になってしまう手前の段階の話です。うつ病として医師の治療が必要になったときはその指示に従うようにしてください。

対策1.ストレスをためない

大きく環境が変わったために何かと我慢することが多くなります。例えば仕事帰りに食事に誘われたときなどに断りたくても新しい仲間だからとつきあったり、言いたいこともまずはがまんしたりと、無理を重ねたりします。社会生活ですから当然合わせる必要はありますが、いつもの自分よりもはるかに無理しているかもしれません。その点、意識して気をつけたいものです。

対策2.はりきりすぎないこと

新しい出発の月の4月。当然がんばりますね。でもマラソンでもそうですが最初に全力で走るとすぐに走れなくなります。新生活だからといつも以上に頑張りすぎないこと。あくまで自分のペースを意識すること。とても大事なことです。

対策3.ゴールデンウィークに注意する

遊びすぎて疲れないことです。また最終日などは静かに翌日の仕事の予定などを頭に入れておいて、ある程度慣らし運転をすることも大事です。疲れた体と、仕事を完全に忘れた頭でいきなり連休明けに働くのは新入社員に限らず誰でも大変です。ちょっとした工夫でずいぶんと楽に適応できるものです。

対策4.その他の方法

  • 呼吸に気をつけてみる。呼吸でリズムをつかみ自分のペースに戻る。
  • 友達と話す。コミュニケーションは絶対大事、ただし飲みすぎややけ酒は逆効果のこともありますのでご注意を。
  • 運動する。これはあらゆるストレスに有効ですね。
  • 食事のバランス。若い時はあまり感じないかもしれませんが心と体は、食事の内容でずいぶんと変わります。

改善に向けて

五月病は4月から5月へかけての大きな変化が原因ですから大なり小なり誰でもそういう心の状態にはなっているものです。

まずは自分の中の変化を意識することが大事ですね。4月に少しはりきり過ぎて疲れたようだと思ったら、5月にはペースを落として自分らしくやってみましょう。4月のペースに戻そうとは思わないことです。我慢するところと、そうでないところをよく考えてみましょう。

何をしてもまったくやる気がでないようであれば無理をせずに病院に行ってみることも大事だと思います。走りすぎたからだが疲れるように頑張りすぎた心も疲れるのは当然ですから、専門医のアドバイスを受けるのもいいことだと思います。

最後に

以上、五月病ついて考えてみました。五月病対策に限らず、自分と仕事のバランスを考えることは長く働いていくにあたってとても大事なことだと思います。

4月に慣れてきた新生活の本番は5月からですね。読者の皆様にはぜひ良き5月をお過ごしください。