今回は職場での敬語マナーについてです。
といってもこれは一冊の本ができるほどの大テーマなので「職場の敬語マナー」は一度ではとても語れませんので、時々ご紹介して参ります。
では今回はよく話題になる二つの事例を見てみたいと思います。
電話や受付対応でお客様から上司への取次を依頼された場合
新入社員でよくある間違いのひとつに上司について社外の人に伝達するとき、というのがあります。
具体的の事例
「田中部長さんはいらっしゃいますか」
と聞かれて
「はい、田中部長はいらっしゃいますのでお待ちください」
と答えることがあります。
または
「いいえ、田中部長は外出で会社にいらっしゃいません」
と答えたりすることがあります。
文章に書くと間違いが案外わかりやすいものですが、この場合正解は
「はい、田中でございますね。お待ちください」
や、
「あいにく田中は外出中で不在にしております」
などなどがビジネスの通例です。
「ご苦労様です」
昔から新入社員泣かせの敬語表現として「ご苦労様」ですがあります。
筆者も若き日に、支店長が帰るとき
「ご苦労様です」と言ったところ
「君がぼくにご苦労様はないだろう(正確には「お前がおれに」と言われました)
目上の人には“お疲れ様”ですと言うんだよ」
と注意を受けたことがあります。
日本語としてはどうなのでしょうか。
ご苦労さまです、で間違ってないようにも思うのですが、よくドラマなどで上長が部下に「ご苦労」とだけいうシーンがあります。
そんな影響もあってかなんとなく「ご苦労」という言葉は、目下の者の労をねぎらうという意味に変化していったような気がします。
意見の分かれるところもあるのですが、おおむね、現在では目上の人には使ってはいけないことになっています。
目上の人に対しては、筆者が指摘を受けたように「お疲れ様です」というのが一般的です。
他にも「お元気様です」という言葉
余談ですが、相手が疲れてもないのに「お疲れ様です」というのは失礼ですし、仮に本当に疲れていたら「あなたは疲れているのですね」というのはやはり失礼だからと「お疲れ様です」と言う言葉をあえて使わない方もいます。
その場合はどう言い換えているのか?「お元気様です」です。
これは元京セラの稲森さんを囲んで勉強する盛和塾の人たちが広めています。
だからやがては「お疲れ様です」と上司に言ったら
「俺が疲れているとおまえが言うな。職場では「お元気様です」と言うんだよ」なんて会話の時代が来るかもしれません。
言葉というのは時代とともに変化する生き物ですね。